【こだわりの逸品を全国展開 特産品EC】第119回 〈桶(おけ)・樽(たる)専門ECサイト「司製樽」〉/昔の職人のようにお客と付き合うネットショップに

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原田啓司氏

竹や杉の産地として知られる徳島県阿南市で、昔ながらの手作りの桶・樽を製作販売する「司製樽」。師匠の技を継いで独立し、修理しながら長く使える桶・樽の魅力を伝えたいとネットショップを設立した。職人としてのこだわり、思いに共感してくれるお客さまについてなど、運営者の原田啓司氏に聞いた。

◆職人への道・こだわり

 原田さんが桶・樽作り職人として独立へとたどり着いたのは、良き師匠との出会いがあったからだという。
 「ハローワークの求人で地元徳島の桶・樽製造、卸会社に就職し、樽部門の師匠が引退するため、後釜に私が配属されました。当時75歳の師匠と21歳の私の間には誰もいませんでした。1年間一緒に働き、師匠は引退。あまりに荷が重い状況の中、師匠の家に出入りさせていただきながら、注文の樽を作る日々が続きました。その後会社の工場長になり、製造効率化や5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)に取り組みましたが、機械作りの桶で卸が中心、お客さまの役に立っているのか実感がなく、『師匠が話してくれた昔の桶屋、樽屋の仕事に還ろう』と決意し、独立しました。
 桶や樽は、箍(たが)が落ちる、黒ずむ、底板がたわむなど不具合が出る道具。でも直せるのです。本来、直しながら長く使う道具です。良いものを作るとともに、修理も行う。ネットショップでも、昔の身近な職人のように、お客さまとお付き合いできればと思います」


◆客層・ニーズ

 普段は工場内にこもり、製作に没頭している原田さん。しかし、ネットを通してものづくりへの情熱を伝えることで、お客さまが増えているという。
 「私はできる限り、昔ながらの方法で桶・樽を作っています。インターネットの普及でこだわりのものを選ぶ方が増え、私の作るものを支持してくださる方も少しずつ増えています。最近は土鍋や鉄鍋でご飯を炊く方が増え、そのご飯をおいしく保存する方法を探されて、おひつに到達します。ネットでおひつを探すと多くの店がありますが、その中で当店を選んでくださる方は、長くおひつや桶と付き合いたいと思う方が多いです。サイトでは、直しや古い桶・樽を買い取ることも書いてあります。『昔から大事に使い続けてきた桶を修理してくれるところを探していて、ネットでやっと見つけました』というご依頼があり、修理してお送りしたところ、大変喜んでいただいたことは特に印象に残っています」


◆売れ行き・今後

 HP、ブログ、SNSによる情報発信、雑誌に紹介されることなどにより、売り上げは徐々に上昇している。
 「サイトでは、顔の見えないお客さまに対し、できる限り自分の声がダイレクトに伝わるよう心掛けました。イベントへの出展や作品紹介など、ニュースも随時お伝えしています。今後の目標は弟子をつくること。その成長を、ネットを通して発信していきたいと考えています」


〈運営会社概要〉
【運営】司製樽
【開設時期】2012年6月
【スタッフ数】1人
【ショップ形態】自社ショップ
【導入システム】なし
【配送委託先】ヤマト運輸
 ※ネットショップ向けの卸については応相談

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記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。


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