【こだわりの逸品を全国展開 特産品EC】第98回 〈アワビ・海産物専門ECサイト「和丸水産」〉/プロも安心して購入できる体制作りを

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肉厚でおいしい「せと姫」

肉厚でおいしい「せと姫」

自然豊かで海の幸の宝庫である愛媛県佐田岬半島。この地で、海水をろ過して一部かけ流しにする陸上アワビ養殖施設を建設し、独自ブランドの高級アワビ「せと姫」を生産・販売している「和丸水産」。ネットショップで「せと姫」について詳細に記述することで、認知度が上がったという。WEB担当の桝田元起氏に聞いた。

◆商品開発・特徴

 全国に数ある中で、衛生面・効率面に優れているという「和丸水産」のアワビ養殖施設。その評判は業界内の口コミで広がり、視察に訪れる人も増えている。
 「当店の養殖施設は、アワビの圧倒的な成長速度と飼育数が特長です。一般的な他の施設では、月間約2ミリの成長速度に対し、当店では最大約4ミリ。飼育数は他店の2~3倍になります。ろ過槽による水質管理、取水・排水施設の完備、アワビの家となる飼育板の開発などが複合した結果、安いランニングコストで良い成果を出すことができています。また、『せと姫』開発で一番苦労したのは、良い種苗生産先と出会うこと。種苗には年中成長するもの、初期のみ成長が早いもの、死にやすいものなどがあり、アワビが大量餓死した経験もあります」


◆販売戦略

 自社ショップ設立から1カ月後に楽天市場に出店。その後、自社ショップのみに絞って販売を始めたが、試行錯誤があったという。
 「楽天と自社ショップでは認知度、安心度が大きく違うと感じました。自社ショップ設立から楽天市場退店後しばらくは、客寄せのために楽天市場出店時より値下げしていましたが、効果は出ませんでした。しかしあるとき、お客さまから『アワビは高級食材なのであまり安いと不審がられる』と言われ、それから適正価格にすると売れるようになりました。現在は、本物を扱うプロからも安心して購入いただける体制にしています。また、アワビは500グラムなど重量換算での販売がほとんどですが、消費者目線では『家族の人数分の個数が欲しい』というのが一般的だと思いました。在庫を多く持つ当店だからできる『個数を基準にした販売』により、注文増につながりました」


◆売れ行き

 現在、ネットでの注文数は1カ月最大で約100箱。年ごとの成長率は約30%と好調だ。
 「サイトで『せと姫』を徹底的に記述することで、全国から販売の問い合わせ、施設の視察、取材の申し込みも増えています。また、『アワビ 通販』を最重要項目として対策し、常に検索順位の上位にいることで、ホテルやレストラン、個人の方からの注文が増えました。今後は、販売だけにこだわらず、『アワビ関連の情報がなんでもある』という店になるのが目標。水がきれいで自然豊かな田舎だからこそできるもの、できることを、漁業者の皆さんにも伝えていきたいです」


〈運営会社概要〉
【運営】和丸水産
【開設時期】2010年12月
【スタッフ数】1人
【ショップ形態】自社ショップ、カラメル
【導入システム】なし
【配送委託先】ヤマト運輸
※ネットショップ向けの卸については応相談

天然サザエと「せと姫」の「ごつごつサザエセット」

WEB担当・桝田元起氏

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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