【こだわりの逸品を全国展開 特産品EC】第109回 〈そろばん専門ECサイト「ダイイチ」〉/播州そろばんの素材と技術生かし商品開発

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「合格お守りそろばん」

「合格お守りそろばん」

そろばんの生産地として長い歴史を持つ兵庫県小野市。明治42年創業の老舗「株式会社ダイイチ」は、伝統的工芸品「播州そろばん」をはじめ、幼児や高齢者に向けた商品なども開発し、そろばんの素晴らしさを伝えている。自分でそろばんが作れる「そろばんビレッジ」の開設もユニークな取り組みだ。代表取締役会長の宮永英孝氏に聞いた。

◆こだわり

 「播州そろばん」作りには100を越える工程があり、職人の技によって一丁一丁、丁寧に作られている。
 「播州そろばんは、(1)玉削り(2)玉仕上げ(3)桁作り(4)組立て─の4工程の分業で生産されます。そろばんの生産地は、島根県の雲州そろばんと播州そろばんの二つですが、1~3の工程は播州そろばんのみで行っており、雲州そろばんに玉と桁を供給しています。日本のそろばんの玉と桁は、100%播州そろばんの生産なのです。当社の『SIシリーズ』という商品では、そろばんの玉の製作に携わった4人の職人の名前を彫刻し、製造責任と品質保証を明確にしているのがこだわりです」


◆商品開発

 最盛期の昭和35年には小野市で年間約360万丁のそろばんを生産していたが、その後、電卓の普及で需要は急激に減少。そこから、そろばんの素材と技術を生かした商品開発を続けているという。
 「そろばん玉型時計、木製健康器具、『合格お守りそろばん』、若いデザイナーの意見を取り入れた『播州カラーそろばん』など、さまざまな商品開発を行ってきました。最近では、〝そろばんを使わない人が買う時代〟というキャッチコピーで、幼児教育や高齢者のボケ防止に役立つそろばんも開発しています。そろばん玉を生かした脳トレゲームや、『ハローキティそろばんシリーズ』などのかわいい商品、また、新商品では〝毎日売れるそろばん〟をコンセプトに、生まれてくる子どもたちへのプレゼントになる『ベビそろ』『ケロそろ』を開発しました」


◆反応・売れ行き

 そろばんという商品の特性からリピーターは少なく、ネットショップの売り上げは横ばいだという。しかし、そろばんの製作体験ができる『そろばんビレッジ』への反応は、広がりを見せている。
 「そろばんの町・小野市に、そろばんを感じられる場所を作ろうということで、若いデザイナーとともに取り組みました。世界に一つしかない〝マイそろばん〟が作れると、国内はもちろん、当社HPやフェイスブック、現在取引しているレバノンのそろばん塾のHPなどを見て、海外の方もお越しいただいています。そして、体験された方のブログやSNSへの投稿によって、来店される方も増えています。ネットでの売り上げが伸びることはありがたいですが、まず、当社の取り組み(そろばんの持つ可能性や、何をしようとしているのかなど)を伝え、当社のサイトに興味を持ってもらうのが第一だと思っています」


〈運営会社概要〉
【運営】株式会社 ダイイチ
【開設時期】2007年1月
【スタッフ数】3名
【ショップ形態】自社ショップ
【導入システム】なし
【配送委託先】佐川急便、ヤマト運輸、福山通運、日本郵便
※ネットショップ向けの卸については応相談

″数える時計〃「そろクロ」

そろばん作りの後継者・宮永孝信氏(左)、宮永英孝氏(中央)、宮永信秀社長(右)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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