【コーヒーEC】止まらない原料高騰/新たな飲みやすさに活路を(2025年7月24日・31日合併号)

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 21年以降、コーヒー豆の高騰が止まらない。23年頃にいったん、落ち着く気配を見せたものの、24年から再び高騰が始まった。コーヒーECを展開する各社は、販売価格の値上げで対応しているが、豆自体の値上がりペースに追いつかず、「増収減益」となる企業が増えている。コーヒーECを展開する企業の多くは、販路の拡大や新商品の開発などを試みているが、苦しい現状を打開するまでには至っていない。コロナ禍で急増した、自家焙煎コーヒーをECなどで展開する小規模事業者は、淘汰の波にさらされるだろうという見方も出てきている。原料が高騰し仕入れが困難な状況が今後も続くのならば、コーヒーEC各社はますます窮地に追い込まれていくだろう。

■止まらない原料高騰

 楽天市場などでコーヒーECを展開する澤井珈琲(本社鳥取県)の25年3月期のEC売上高は、前期比3.7%増の56億円だった。原料価格の高騰を受け、販売価格の値上げを行ったため、増収となったものの、利益は減少したという。
 同社では直近1年で、20~30%の値上げを実施。20年ごろと比べると、販売価格が3倍以上になった商品もあるとしている。
 「最近だと、コメの価格高騰が数多く報道されている。消費者物価指数にも表れているが、コーヒー豆もコメ並みに値上がりしている」(澤井理憲取締役)と話す。
 「『コメ高騰』は報道が多く、消費者の理解も得やすいのかもしれない。コーヒー豆の高騰はほとんど報道されないため、顧客から問い合わせが入ることも多い」(同)とも話す。
 キーコーヒー(本社東京都)は原料の高騰の有無や程度について公表していないものの、25年3月に10~20%の値上げを実施した。
 ECやカフェを展開するサザコーヒー(本社茨城県)は24年夏ごろに、全体で約20%の値上げをしたという。「ここ数年値上げはしてこなかったが、いよいよ対応が難しくなってきた」(鈴木太郎社長)としている。


■海外市場にも変化

 コーヒー豆価格の高騰の要因の一つとして、「海外市場の変化」を挙げる企業もあった。

(続きは、「日本ネット経済新聞」7月24日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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