【ECコンサルタントによる「勝手にECサイト分析」】□□40 ジャパンEコマースコンサルタント協会 小林厚士理事〈がんじゅう「おきなわ紅豚ネットショップ」〉/明確なコンセプトと商品のこだわり

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「おきなわ紅豚ネットショップ」トップページ

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 沖縄県にある「株式会社がんじゅう」では、全国にあるブランド豚の一つであり、その中でも群を抜くおいしさと評価される「紅豚」と「紅あぐー」というブランド豚肉を独占販売している。
 十数年前から、食肉偽装問題や、良いお肉を生産している生産農家が儲けることのできない当時の流通体系から脱するべく、農家さんと協力し、生産、加工、販売を一貫して行っているそうだ。
 豚肉では日本で初めてトレーサビリティーシステムを導入した。飼料情報の公開、放射能検査を徹底することで、生産から食卓まで安心・安全・おいしいを提供していることも大きな強みといえる。
 また、三越や伊勢丹などのギフトセットで年間3万セット以上の販売実績があることや、とんかつの老舗「まい泉」の一部店舗で提供されているといった実績がある。
 ただ安いだけの物ではなく、その商品に対して完璧なストーリーがあってこそ、リピーターが増え続けている理由なのではないかと感じる。
 ECサイトのコンセプトは、お客さまに安心・安全・おいしい豚肉をお届けすることが第一の目標だ。自宅用、贈答用などに自信を持って選んでいただける提案が行われている。
 並行して、観光客・メディアなどに情報発信を行う直営レストランや、首都圏にある大手デパートのギフト取り扱い、自宅用とギフト需要の両方のお客さまに販売できる機会を外部から収集し、サイトが出口になるような仕組み作りが行われている。
 また、特徴の一つとして、商品には一つ一つに「安心番号」というものが貼られている。サイト内のトレーサビリティーシステムでその番号を検索すると、生産者や飼料、お客さまの手元にある豚肉の情報を知ることができる。
 そのほか、生産者の声やこだわり、豚肉を通しての健康作りを応援するため、お医者さんのコラムを掲載するなど、ただ販売して終わるのではない。
 食卓に届いた後のケアの部分や、豚肉を食べて健康になっていただくという、販売より先の部分のページを充実させ、信頼を感じていただくといった、消費者の視点に立った思いのある構成となっている。
 EC運営の条件が良くないと言われる地方でありながらも、明確なコンセプトと商品へのこだわりを「ぶれない基軸」とすることで、揺ぎない運営スタイルにて、これからもますます全国にリピーターを生み出していくだろう。


〈筆者プロフィール〉
こばやし・あつし氏
 99年の楽天市場出店を期に、最大7つのECサイトを運営。楽天店舗では02年楽天ショップオブザイヤースーパーオークション賞受賞。長野県・新潟県・富山県・山梨県登録専門家(IT部門)。経済産業省中小企業支援ネットワーク強化事業 認定専門家。物販で培ったマーケティングノウハウを活かし、経営視点かつ現場最優先の実践的なコンサルティングを得意とする。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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