【千原弁護士の法律Q&A】▼373▲ 「クーリング・オフのキャンセル」どう取り扱うか?(2022年1月19日号)

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<質問>

 連鎖販売企業を経営しています。クーリング・オフの申請があった数日後に、本人から「クーリング・オフのキャンセル」といった連絡をいただくことがあります。その場合、クーリング・オフはなかったということで、そのまま契約継続として取り扱えば良いのでしょうか。それとも、何か手続きをしたり、確認のための書面を作成したりするのが適切なのでしょうか。何らかの文書は必要だと思いますが、メールやSNSで意思が確認できれば良いのでしょうか。   (ネットワークビジネス会社社長)

<回答> 新たな登録というプロセスで対応

 まず、クーリング・オフは法的には、申し込み者等が書面で通知を発した時点で効力が生じます(業者側への書面の到達や、業者の承諾は不要です)。よって、いったん申請がなされた場合、「クーリング・オフのキャンセル(撤回)」は法的にあり得ません。
 つまり、クーリング・オフは、期間内に意思表示があれば、すぐに効力が生じ、その時点で会員契約は消滅し、その後にキャンセル・撤回はできません。
 従って、ご質問の状況は、法的には「新たな入会の申し込み」となります。(概要書面は既に交付済みであれば、改めての交付は不要ですが)契約書面については、新しい契約年月日を記載した上で、再度交付を行い、その時点から20日間の別途のクーリング・オフ期間を設ける必要があります。
 申し込み自体は、貴社の通常の新規入会申し込みの際と同じで問題ないと思います。ウェブ登録形式であれば、新たにウェブで、紙媒体であれば、新たに登録申請書を提出してもらう形になると思います。つまり、新規入会と全く同じプロセスになります。
 なお、ご質問とは離れますが、一度、クーリング・オフをした人が、数日後に再度契約を申し込むケースは、紹介者が、再度、強力に説得するなど、「クーリング・オフ妨害」とも言えるような、強引な再勧誘が行われるなどの問題があった可能性が高いと思います。

(続きは、「日本流通産業新聞」1月19日号で)

<プロフィール>
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、約170社(うちネットワークビジネス企業約90社)の企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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