【千原弁護士の法律Q&A】▼294▲ 愛用者会員であれば、未成年者でもいいのか?

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 当社は、ネットワークビジネス(NB)企業ですが、ネットで、一般ユーザー向けにも、化粧品や、女性向けの健康食品などを販売しています。このところ、定期購入してくれる愛用者会員を増やすことに努めていますが、その中で、「愛用者会員であれば、未成年者などが入っても良いのか?」という疑問が社内で起きています。私は、ビジネスをしない(報酬が発生しない)愛用者会員であれば、特定商取引法の規制はなく登録は自由と理解していますが、それで間違いないでしょうか。その他、注意点があれば、教えてください。(化粧品・健康食品NB会社社長)

〈回答〉 「未成年者」を直接禁止する規定はないが…

 NBにおいて、未成年者を会員とすることが許されないのは、特商法の連鎖販売規制のなかで「判断力不足に乗じた」契約が禁止されており、未成年者がその典型とされているからです。
 そこで、ご理解のとおり、ビジネスを行わないのであれば、この禁止規定は及ばないこととなります。

 一方、ネットによる取引ということなので、特商法の通信販売規制の適用はあります。ただ、通販規制の中では、「判断力不足に乗じた」契約は特に禁止されていないので、特商法上は、未成年者を愛用者会員とすることを直接禁止する規定はないとういう結論になります。

 以上のとおり、ご理解は基本的に正しいです。

 ただ、民法(全ての取引に適用があります)においては、未成年者がした契約行為のうち、親権者である両親などの法定代理人の同意承諾がない場合は、原則として取消ができるとされ、例外的に「小遣いの範囲内」の取引であれば、法定代理人の同意承諾がなくても取消はできない、という構造になっています。

(続きは、「日本流通産業新聞」10月10日号で)

〈プロフィール〉
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、130を超える企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、また、数多くの大規模企業再生・倒産事件を手掛けてきた。業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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