【千原弁護士の法律Q&A】▼366▲ NBの会員に訪販の法定書面を用意する法律的義務は?(2022年9月15日号)

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【質問】

 ネットワークビジネス(NB)会社を経営しています。当社の会員は、消費者に対して、当社から購入した商品の小売りを行うことができます。千原先生の先日の連載記事にも書かれていましたが、会員の小売り行為は、特商法の、「訪問販売」や「電話勧誘販売」に該当するということですね。当社でも、会員に対して、訪問販売などの法定書面を提供し、それを利用してもらうようにしています。現在、社内で、以下のような疑問が出ています。(1)法律上、当社のようなNB主宰会社が、訪問販売用の契約書面を会員に対して用意する法律的義務はあるのでしょうか。私はコンプライアンスの一環として、今後も継続すべきと考えていますがいかがでしょうか。(2)当社から提供している、会員の小売り用の契約書面について、このほど内容を改訂しました。2022年6月1日施行の特商法改正を踏まえて、クーリング・オフの電子化を反映した契約書面に変更したのです。そこで、会員全員が、クーリング・オフを受けられるパソコン等を持ち、各自のメールアドレスを表示するように、指導・対応すべきでしょうか。(NB会社社長)

【回答】 法的義務はないが、書面の用意を継続すべき

 まず、(1)についてですが、結論として、NB主宰会社が契約書面を会員に交付、指導する法的な義務はないものの、お考えのとおり、コンプライアンスの観点からは、貴社の現在の措置を継続すべきだと思います。
 訪問販売や電話勧誘販売で契約をした際、消費者に契約書面を交付する法的な義務を負担するのは、売り主(販売者)であり、貴社のシステムだとそれは各会員になると思います。

 ただ、貴社が主宰する連鎖販売事業の中で、会員が適法にビジネスを行うよう、貴社としても当然に配慮すべきです。また、会員が特商法に違反し、行政処分や刑事罰を受けた場合、貴社のレピュテーションも毀損され、貴社の事業の継続性にも影響すると思います。

 さらに、貴社商品について、会員の契約書面不交付による特定商取引法違反が大々的に行われ、貴社も関与していると疑われた場合、貴社も行政や警察の調査、捜査の対象となるなどのリスクもあります。

 以上のように考えると、会社としては、現在と同様の配慮を継続すべきだと思います。

(続きは、「日本流通産業新聞」9月15日号で)

〈プロフィール〉
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、約170社(うちネットワークビジネス企業約90社)の企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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