【千原弁護士の法律Q&A】▼331▲ アイコンに顔写真設定。強制は難しい?

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〈質問〉

 訪問販売会社です。当社ではこのほど、テレワーク対応のため、新たなビジネスツールを導入しました。その際、全社員に、ツール内アイコンとして、顔写真を設定することになりました。「マスクをしない正面を向いた画像」をアイコンとして使用するよう要求したところ、一部社員より、「自分の顔を他人に見られるのは苦痛であり、個人情報保護や肖像権の点から問題があるのではないか?」という指摘を受けました。実際のところ、強制することは難しいのでしょうか? また、社内に限らず、会社のお客さま向けに、HPで従業員の写真を公開する取り組みも検討しています。親しみを持っていただく施策なのですが、こちらについてはいかがでしょうか。(訪販会社社長)

〈回答〉 まずは個人情報保護法に則って運営を

 まず、顔写真を含む、従業員の個人情報は、個人情報保護法に定める「個人情報」に該当します。そのため、貴社が、従業員の氏名、顔写真等の個人情報をイントラネットで利用する場合は、「利用目的の特定」をはじめ、個人情報保護法に従って行う必要があります。

 そこで、まずは就業規則や入社時の書面、会社のプライバシーポリシー等で「社内でのイントラネットへの掲載を含む従業員間での共有」が個人情報の利用目的として特定され、また従業員に対して通知、公表されていることが必要です。

(続きは、「日本流通産業新聞」」4月1日号で)

〈プロフィール〉
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、130を超える企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、また、数多くの大規模企業再生・倒産事件を手掛けてきた。業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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