【千原弁護士の法律Q&A】257 「はれのひ倒産」。企業はどうすべきだったのか

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〈質問〉
 成人式用の着物の販売やレンタルを行う、はれのひが倒産して、たくさんの消費者に大変な迷惑をかけた報道がされていましたよね。社長は一時期行方知れずになっていましたが、逃げてしまえばおとがめなし、「逃げ得」になってしまうものでしょうか。それとも、何かペナルティが考えられますか。そもそもはれのひはどうすべきだったのでしょうか。(通販会社社長)



〈回答〉 経営悪化認識しての取引は「詐欺罪」も

 被害者の方はお気の毒ですよね。私は特商法の他、一般の企業法務や倒産処理なども扱うので、今回のニュースは、とても興味深く見ていました。
 倒産処理を扱う弁護士から見ると、まさに無責任極まりない対応だと思います。

 企業を経営する中で、いろいろな理由で、経営が悪くなり、最終的に倒産することは、残念ながらあり得ることです。その場合「どう幕引きするか」が大事で、今回のような、大規模消費者被害を出して、マスコミに報道されて、社会的に大問題になる、というのは、まさに「最悪の幕引き」だと思います。

 はれのひについて、横浜地裁は1月26日、破産手続きの開始を決定しました。破産管財人が会社の財産やこれまでの経営状況を調査し、その過程で代表取締役などの役員の違法行為があれば、詐欺などで警察沙汰になることになることも考えられました。一般に警察は、企業倒産に伴う詐欺事件についての対応は消極的ですが、たとえば同じく多くの消費者被害を出した旅行会社「てるみくらぶ」の社長が逮捕された時のように、世間で大問題になったときは、積極的に動きます。

(続きは、「日本流通産業新聞」3月8日号で)

〈プロフィール〉
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。現在、130を超える企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、また、数多くの大規模企業再生・倒産事件を手掛けてきた。業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「こんなにおもしろい弁護士の仕事」Part1〜2(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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