【千原弁護士の法律Q&A】▼354▲ 住所と異なる「配送先」は問題あるか? (2022年3月24日号)

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〈質問〉

 ネットワークビジネス(NB)会社を経営しています。当社では、会員登録に当たって、実際に住んでいる住所とは異なる「配送先」を指定することもできます。特定商取引法上の、概要書面や契約書面、初回の購入商品は、この「配送先」(実際の住所ではない)に送っても問題ないのでしょうか? 当社では、概要書面、契約書面、初回商品だけは実際の住所に送るようにしています。会員から指定があった場合、2回目の商品からは「配送先」に送るようにしています。ただ「家族にばれたくない」などの理由で、初回から契約書面も含めて全て「配送先」に送ってほしいと希望する人もいます。特に問題がなければ、希望に従いたいのですが、いかがでしょうか。(NB会社社長)

〈回答〉 特商法違反ではないが、いくつかのリスクが

 特商法では、法定書面や商品について、居住地以外の住所に送ることを禁止する直接的な規定はありません。
 実際に、多くのNB会社が、本来の住所ではない指定住所に商品を送るといったことは行っていると思います。背景としては、ご質問のように「家族にばれたくない」といった事情があります。そういった際に、紹介者や、上のリーダーの自宅などを「配送先」に指定するものだと思います。

 特商法の直接的な違反はありませんが、以下のようなリスクが考えられます。

 イ、多くのNB会社では初回商品に契約書面を同梱しますが、それが居住する住所に届いていないということで、「契約書面を受領していない」→「永久クーリング・オフ」を主張されるというリスクです。

(続きは、「日本流通産業新聞」3月24日号で)

〈プロフィール〉
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、約170社(うちネットワークビジネス企業約90社)の企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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