【千原弁護士の法律Q&A】▼341▲ 東電子会社の行政処分受け、当社の必要な対応は?(2021年9月16日号)

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〈質問〉

 当社は太陽光や蓄電池、リフォームの訪問販売を行っています。そのノウハウや人材を活用して、電力会社やガス会社から委託を受ける形で、新規プランの仲介業務も行っています。より具体的にいうと、訪問販売や電話勧誘販売で、当社がリストを保有する顧客に案内をしております。今回、東京電力の子会社が、特商法違反の行政処分を受けたというニュースを見ました。当社も十分に注意する必要があると考えています。必要な対応について、アドバイスをいただければと思います。(リフォーム訪販会社社長)

〈回答〉 トークマニュアルなどつくり徹底を

 ご存じのとおり、訪問販売や電話勧誘販売には、特定商取引法の規制がかかっており、違反案件の情報が行政に多く寄せられると、業務停止命令などの行政処分を受けることになります。この点については、東電の子会社などの大手企業であろうと全く同じです。

 電力等の小売事業に関する訪問販売等については、これまでにも何度も行政処分が行われています。
 そしてご質問にあるとおり、2021年6月には、東京電力の子会社である東京電力エナジーパートナー(以下「東電EP社」と言います)が、電気・ガスの契約切り替えの電話による勧誘において、「○○様の東京電力の契約は割引のないプランになっている。高い可能性があるので、安いプランへの切り替えを案内させていただく」「契約中の料金プランについて連絡した」など、あたかも連絡事項の伝達のように説明したこと(勧誘目的不明示)や、「年1200円程度安くなる」など虚偽の説明を行ったこと(不実告知)を理由に、処分を受けました。電話勧誘販売に関する業務の一部について、6カ月の業務停止命令を受けたのです。今回の処分原因となった(1)勧誘目的不明示(2)不実告知─は、いずれも電話勧誘販売における違法勧誘の典型的な内容であり、以下のような具体的な対応が必要です(訪問販売においても同様の規制が課せられています)。

 まず、(1)ですが、いわゆる三大告知義務(会社名、勧誘目的、対象商品・サービス)をマニュアルに落とし込んで、徹底することです。これらの告知は電話や訪問を行う際、必ず「トークの最初」に行うようにしなければなりません。そして「社名」については、貴社が自社の販売商品である太陽光等の販売を行う場合は「貴社名」を、委託を受けて他社の電力契約等の勧誘を行う場合は「その会社の社名」をお伝えする必要があります(後者の場合は、貴社名を伝える必要はありません)。
 また東電EP社の処分例のように勧誘目的をあいまいにすることは許されません。むしろ、東京電力などからの事務連絡と誤解されないように「何を勧誘するか」という点を、トークの最初に、はっきりと分かる形で説明しなければなりません。こうした点に注意しながらマニュアルを作成し、できれば弁護士など専門家である第三者から、確認を受けることが望ましいです。

 続いて、(2)の不実告知ですが、省エネ効果や節約効果などについては、事実に基づいて立証できる内容を明確に伝える必要があります。ある前提条件を満たせば達成できるというケースでは、その前提条件もきちんと説明する必要があります。

(続きは、「日本流通産業新聞」9月16日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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