【千原弁護士の法律Q&A】▼360▲ デジタルデータ保管への移行を考えているが。(2022年6月23日号)

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〈質問〉

 私は、ある企業で法務を担当しています。当社では、消費者に対して有料の会員制で商品販売を行っています。これまでは、申請書や契約書類などの保管について、倉庫を借りて紙ベースの保管をしていました。今後はデジタルデータ保管への移行を考えています。原本として保管している申請書、契約書類等は、電磁的記録、スキャナーなどによる記録のみとすることは可能でしょうか。可能であれば、現在紙ベースで保管している資料を廃棄したいと存じます。また、法的に可能であっても、実際上、問題がないかも教えてください。(会員制販売会社法務担当)

〈回答〉 裁判になると電子データでは証明力に劣る難点も

 法的には、原本・控えも含めて、契約書類の保管を義務づける一般的な規制は基本的にありません(なお、会社法や税務関係法令から保管が義務づけられる書類はあります)。従って、極端な話ですが、原本を直ぐに廃棄し、控えがなくても、それ自体法律に違反することはありません。ただ、次のような観点からの考慮が必要となります。

 まず考えないといけないのが、消費者から契約内容について問い合わせがあったケース、あるいは、トラブルになるなどして、契約内容の説明などが必要になるケースについてです。
 この場合は、契約内容の確認ができれば良いので、電磁的記録があれば目的を達することができると思います。

 続いて、考えなければならないのは、レアケースですが、裁判になった場合です。裁判では、「原本」がなく、電子データだけですと、契約内容の証明等において証明力が劣るという難点があります(最終的には相手方が争わなければ問題ありませんし、諸般の事情で判断されるので、電子データでは証明できないという趣旨ではありません)。

(続きは、「日本流通産業新聞」6月23日号で)

〈プロフィール〉
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、約170社(うちネットワークビジネス企業約90社)の企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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