【千原弁護士の法律Q&A】▼396▲ 80歳だと法的に「判断力が不十分」なのか?(2023年12月14日・21日合併号)

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<質問>


 リフォームの訪問販売会社を経営しています。今回、エコガラスのリフォーム契約を締結し、既に工事も終了した案件について、お客さま側からキャンセルの要求を受けました。この件には、消費生活センターが介入しており、特定商取引法が禁止する「判断力不十分者との契約だ」というのが、先方の主張です。確かにお客さまは80歳ですが、私どもの印象では、工事の要望などもご自身が細かく指示されており、判断力は十分にあると思います。(1)80歳だと法的に「判断力が不十分」なのでしょうか(2)判断力不足の可能性がある契約だと、キャンセルに応じる必要があるのでしょうか(3)キャンセルに応じる場合、ガラスを元に戻すことは不可能ですが、どう解決したら良いでしょうか(4)家族の同意書を取る企業が多いですが、それはマストでしょうか─という4点について質問したいと思います。(リフォーム訪販会社社長)

<回答> 「80歳=判断力不足」ではない


 通達や解説書などでは、特商法が取引を禁止する「判断力不足」として、「老人、未成年者、知的障害者、成年後見を受けている人等」を挙げています。
 ただ、老人であれば一律に判断力不足とされるわけではありません。逆に言うと、60歳台の比較的若い人でも認知症であれば、判断力不足に該当すると思います。

 (1)貴社のケースでいいますと、80歳は、高齢者であることは間違いないですが、判断力不足かどうかは個別の判断となります。
 ちなみにバイデン大統領は80歳ですが、判断力不足ということにはならないでしょう。お客さまが契約の内容を理解し、工事の指示を行っていたのであれば、一般的には判断力があると考えて良いと思います。

 (2)仮にお客さまが判断力不足だとしても、特定商取引法において契約の取消権は定められておらず、法的にキャンセルが強制されるわけではありません。

(続きは、「日本流通産業新聞 12月14日・21日合併号で)

<プロフィール>
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、約170社(うちネットワークビジネス企業約90社)の企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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