【千原弁護士の法律Q&A】▼386▲ 面接時との意見相違による内定取り消しは可能か?(2023年7月20日号)

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<質問>


 内定を出したAさんを、営業職に配置しようと予定していました。すると入社前に、Aさん本人より「精神疾患で心療内科に通院しており、営業職は自信がない」との相談がありました。面接時の履歴書、面接シートには健康状況良好と記載され、面接時にも、そのような申告は一切ありませんでした。面接時には、営業職での採用を予定していることを説明しています。内定取り消しをしたいのですが、いかがでしょうか。また、当社では入社から3カ月間は試用期間となりますが、入社を認めた上で、試用期間満了時点で退職をいただくのが良いでしょうか。
                 (販売会社社長)

<回答> 試用期間満了の時点で解雇する選択肢もあり


 内定取消(法的には「解約留保権」の行使)が認められる法的なハードルは高いです。判例上、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であって、内定取消の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ、社会通念上相当として是認することができるものに限られる、とされています。

 具体例としては、(1)提出書類に虚偽の記載を行っていたことが発覚したとき(2)内定者の健康状態が悪いとき(3)採用内定後、内定者が刑事事件で逮捕されたとき(4)卒業予定であった高校または大学等を卒業できなかったとき─などです。会社の都合で内定を取り消すことは許されません。
 Aさんの件を検討すると、面接シート等に健康状態は良好と記載されていたとのことで、その時点で本当は精神疾患を発症していたのであれば、提出書類の虚偽記載となります。ただ、虚偽記載ですぐに内定取消が認められるわけではなく、ケースバイケース、程度問題であり、「営業職としての業務に耐えられるか」という観点から検討が必要です。

(続きは、「日本流通産業新聞」7月20日号で)

〈プロフィール〉
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、約170社(うちネットワークビジネス企業約90社)の企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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