【千原弁護士の法律Q&A】▼207▲ 特商法や消費者契約法の改正は「されない」?【千原弁護士の法律Q&A】▼207▲ 特商法や消費者契約法の改正は「されない」?

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特定商取引法や消費者契約法の改正が行われるという話を聞きました。一方で、無店舗販売業界にものすごい影響を与える法改正は見送りになったという話も聞きました。結局、特商法や消費者契約法の改正は「されない」という認識で良いのでしょうか。また、そもそも、なぜ、こんな話が出たのでしょうか。今後の影響は何かありますか。先生の忌憚のないご意見をいただければと思います。(訪販会社社長)

<回答> 法規制には業界全体で十分に監視することが重要

 特商法については、2008年に改正された時点で、「改正法の施行から5年経過時に、状況について検討し、必要に応じて所要の措置を講じるべきこと」と決められていました。特商法の改正自体は予定通り進められていくことになるでしょう。また、消費者契約法については、施行からかなり時間が経ち、苦情相談の処理例や判例などが蓄積されたことや、高齢化・ネット社会が進展したことなどから、改正を検討する必要が出たとされており、特商法と同じタイミングで改正が議論されることになったのです。
 14年10月には消費者契約法の専門調査会が、15年1月には特商法の専門調査会が、それぞれ設置されました。各調査会での審議を経て、15年12月には両調査会の報告書がそれぞれ提出されています。これがざっとした経緯です。
 ご相談の中で、「訪販業界にものすごい影響を与える改正」とおっしゃっているのは(1)訪問販売への不招請勧誘の禁止(訪販禁止ステッカーを貼れば訪販ができなくなる)の導入(特商法)(2)「広告内容に問題があれば、消費者がそのまま契約の取り消しができる」旨の規定の導入(消費者契約法)─のことではないでしょうか。
 こうした過激な内容の改正も議論されましたが、検討の過程の中で結局導入は見送りとなりました。
 また、(3)ネットワークビジネス界が注目した「後出しマルチ」などの一連の規制─も、特商法の調査会の中で検討されましたが、導入は見送りとなりました。
 特商法と消費者契約法の調査会の報告書には(1)~(3)のポイント以外の点について、「早めに改正すべき事項」として、複数の指摘がなされており、それらの点について今後法改正の作業が進められていくことでしょう。ただ、どのポイントも、基本的には、関係業者の方には、大きな影響が無さそうな当たり障りのない内容であり、私が見ても、特に不当には思えないものでした。

続きは「日本流通産業新聞」2月25日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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