【千原弁護士の法律Q&A】▼271▲ 法人会員の代表者変更への対処法は?

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 ネットワークビジネス(NB)会社を運営していますが、当社の会員には個人だけでなく、法人もいます。現在、法人会員の代表者の変更について、社内で協議を行っています。以前に、当社の法人会員Aが、代表者を変更したことがありました。そのときは、もとの代表者が別のNB会社に登録して、当社の会員を勧誘し、問題となりました。当社はこの事実をしばらく把握できず、しばらくは法人会員Aにコミッションを支払い続けてしまいました。今後、このような事態は避けたいと思います。また、法人会員の代表者が亡くなられた場合についても、何らかのルールは決めた方が良いと思います。こうした点について、教えてください。(NB主宰会社社長)

〈回答〉 明確なルールを定めることが必要
 NBの法人会員の代表者変更については、トラブルが多いので、貴社がご検討のように、規約において明確にルールを定めることが望ましいです。
 ご質問のとおり、法人会員の代表者の変更が起きるのは、(イ)死亡のケースと、(ロ)それ以外、があると思います。

 よく誤解があるのですが、はっきりルールを決めないと、法人自体の同一性は変わらないので、そのまま会員としての地位を継続するのが前提となります(その場合、コミッションの支払い継続も必要になります)。
 しかしながら、NBの場合、法人会員とは言え、「顔が分かる」個人の活動が重要ですよね。そこで、「死亡」の場合も、「それ以外」の場合も、会社が認めた場合に限って、会員としての地位が存続する形にすれば、貴社の例のように、悪用されるケースもなくなりますし、後を継いだ方が会員活動をしないままに「不労所得」を認めるようなことにもならないと思います。
  具体的には、規約等に以下のような趣旨を明記されると良いと思います。

 (1)法人の代表取締役死亡の場合
 死亡時点で、法人の登録もその時点で終了する。その上で、新たな代表取締役について、貴社の所定の方式で、死亡後3カ月などの期間を設け、相続人等から申請を行ってもらい、貴社が審査の結果、認めた場合に限って、法人会員としての地位が存続する。
 この場合、貴社が存続を認めたとしても、コミッションについて、会社側の裁量にて減額等ができる旨を明記すると、使い勝手が良いと思います。

 (2)法人の代表取締役変更の場合(死亡以外)
 代表者の変更(登記)の3カ月前などに、貴社の所定の方式で、申請を行ってもらい、貴社が審査の結果、認めた場合のみ、新たな代表取締役に変更されても法人の会員としての地位が存続する。それ以外の場合は、新たな代表取締役が登記された時点において、法人の会員としての地位は消滅する。この場合も、コミッション減額の可能性等も記載されていると良いと思います。

 上記は一例なので、貴社において、自由に設計された上で、規約に明記されるので良いと思います。
 また、法人の場合、特商法や消費者契約法に基づく保護は、基本的には及びませんので、会社が明記された規約に基づいて対応すれば、消費者問題の点は気にされる必要はないと思います。


〈プロフィール〉
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、130を超える企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、また、数多くの大規模企業再生・倒産事件を手掛けてきた。業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。


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