【千原弁護士の法律Q&A】▼430▲ 未払いの売掛金を個人から回収する方法は?(2025年5月15日号)

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<質問>



 売掛金2000万円を支払わない取引先A社があり、やむなく弁護士に依頼して訴訟を起こしました。A社は、全面的に認めましたが、「一度には返せない」ということで、3年間の分割弁済の和解となりました。その際、A社の代表取締役であるXにも連帯保証人になってもらいました。当初2回ほどは支払われたのですが、その後、支払いが滞り、最近は連絡をしても、返事もないという状況です。A社は事務所も畳んでおり、もう営業していませんが、Xの方は、うわさによると、別のビジネスに関係しており、羽振りは悪くないようです。X個人から回収する方法を教えてください。(商品販売会社社長)

<回答> 個人所有の資産への強制執行を検討



 まず強制的にお金を支払わせるような法制度は日本にはないので、Xの所有する資産に対する強制執行を検討することになります。
 裁判上の和解であれば、和解条項をもとに強制執行を行うことができます。
 X名義の不動産、預金があり、不動産であれば所在地、預金であれば銀行や支店名の情報がある場合、差し押さえが可能です。また、勤務先が分かれば給与債権も押さえられます。
 ただ、この状況ですと、資産が見つかることは、ほぼないと思います。そこで、財産を探すための手続きや回収方法がいくつか考えられます。
 (1)最も効果的なのは、「預金調査」です。
 勝訴判決や金銭支払いの裁判上の和解であれば、裁判所が各銀行に照会をして、預金の有無や残高の情報を引き出すことが可能です。
 この場合、Xの口座がありそうな銀行に「当たりを付けて」照会をかけますが、一件5000円程度の手数料がかかり、予算を見ながら目標を絞ります。
 (2)続いて不動産の「名寄せ調査」です。

(続きは、「日本流通産業新聞 5月15日号で)

<プロフィール>
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、約170社(うちネットワークビジネス企業約90社)の企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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