【千原弁護士の法律Q&A】▼439▲ 中途解約・返品ルールについて(2025年10月2日号)

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【質問】


 連鎖販売会社を経営しています。中途解約・返品ルール(特商法40条の2)について相談させてください。当社は、中途解約・返品ルールの条件を満たしている場合、購入金額の90%を顧客に返金します。その際、返品対象の商品は、顧客の送料負担で当社に送ってもらいますが、以下の五つの金額をさらに差し引いて良いのでしょうか。(1)対象商品の未払いの送料(2)返金にかかる振込手数料(3)対象となった商品の購入について支払ったコミッション(4)返品対象にならない取引について支払ったコミッション(5)対象となった取引について上位者に支払ったコミッション─の五つです。それぞれ教えてください。(5)が差し引けない場合、上位者に請求することは可能でしょうか。(連鎖販売会社社長)

【回答】「精算に関する事項」に明記を



 連鎖販売の中途解約制度(会員退会に伴う)において、商品の返還がなされた場合、商品代金の10%までは、概要書面・契約書面に明記することを前提に差し引くことが出来ます。
 加えて「契約の締結及び履行のために通常要する費用の額」を会員に請求(実際には返金額から差し引く処理)することが可能です。
 ここで言う、「締結」のために通常要する費用としては、書面作成費、印紙税等があります。「履行」のために通常要する費用としては、商品の配送料、代金の取立ての費用、催告費用等が例示されています。
 これらの費用を請求するためには、

(続きは、「日本流通産業新聞 10月2日号で)

<プロフィール>
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、約170社(うちネットワークビジネス企業約90社)の企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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