【千原弁護士の法律Q&A】▼441▲ 不正請求を行っていたA社への損害賠償訴訟(2025年11月6日号)

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【質問】



 当社は、A社に対して約3000万円の損害賠償請求訴訟を起こそうと考えています。当社はA社に対して、広告関連の業務を発注していました。A社側が外注業者に支払った費用の10%を管理手数料として、実際にかかった経費の実費とは別に、当社に請求する契約内容でした。ところが、A社は外注に支払っていた費用を水増しして申告しており、ここ5年に限っても、3000万円もの不正請求があったことが判明しました。しかし、A社は、「そんな契約内容ではない」と否定し、支払いに応じません。A社は、社長が個人で対応している小規模な企業です。当社とA社との間に契約書の締結はありませんでした。このような状況での訴訟について、意見をいただければと思います。        (通販会社社長)

【回答】契約書ない場合、勝訴の保証なく



 この案件では、二つのポイントがあります。イ、一つは勝算があるか、ロ、もう一つは、金銭の回収ができるか、です。
 私ども弁護士が、金銭回収の相談を受けるとき、まず重視するのは、ロの「回収可能性」ですので、こちらからご説明します。
 例えば、

(続きは、「日本流通産業新聞 11月6日号で)

<プロフィール>
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、約170社(うちネットワークビジネス企業約90社)の企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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