【千原弁護士の法律Q&A】▼431▲ パワハラ気質の会員。対応が必要か(2025年6月12日号)

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<質問>



 連鎖販売取引を行う会社を経営しています。トップリーダーの女性Aについて相談させていただきます。Aは、成績こそ良いのですが、いわゆるパワハラ気質なのです。高圧的に大声で怒鳴りつけたりするのもしばしばで、カスタマー担当の社員や、傘下の会員から苦情が出ています。なんらかの対応が必要でしょうが、営業サイドの意向を踏まえ、除名処分は避け、反省を促すような形での指導にとどめたいと考えています。ただ、反省はしてもらいたいですから、反省の態度を示すまで、報酬の支払いを保留したいと考えていますが、問題ないでしょうか。アドバイスをお願いします。(連鎖販売会社社長)

<回答> 除名処分の前に「誓約書」の提出を


 私が連鎖販売の顧問会社の相談を受ける中で、Aのようなリーダーはとても多い印象です。営業力がある人、カリスマ性がある人はその反面、他人に対して高圧的・攻撃的になる傾向が強いように感じます。Aの行為は、貴社の従業員との関係では、典型的な「カスハラ」です。放置すると会社は、従業員の職務環境を維持するべき法的義務を果たしていないと判断されるリスクがあります(2025年4月施行の東京都のカスハラ防止条例など、多くの自治体で条例に企業の対応を義務づけています)。例えば、うつ病を発症した従業員に対する損害賠償義務を負担する必要が出てくるかもしれませんし、そこまでではなくても、職場環境が悪化し、従業員の早期退職を招くなどの問題が起きる可能性があると思います。
 また、

(続きは、「日本流通産業新聞 6月12日号で)

<プロフィール>
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、約170社(うちネットワークビジネス企業約90社)の企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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