【千原弁護士の法律Q&A】▼349▲ ポイントの現金化を考えているが。 (2022年1月20日号)

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〈質問〉

 当社はネットワークビジネス(NB)会社です。当社では、通常のコミッションの他に、ポイント制を設けています。新規会員獲得や、組織の成長状況などを数値化してポイントを付与するのです。会員はこのポイントを蓄積して、ギフトと交換したり、注文代金に充当したりすることができます。今回、さらに、このポイントの払い出し(現金化)が可能になる形に、仕組みを変更することを検討しています。当社のコンサルタントからは「注文代金への充当も含めて、資金決済法に違反する可能性があるので、弁護士の意見を確認した方が良い」とアドバイスされました。ご意見をいただければと思います。(NB会社社長)

〈回答〉 「労務の成果」か「対価」かで結論は異なる

 こういったご質問は、私のNBの顧問会社さまからも、よく頂戴します。貴社のポイント制のように、事実上、お客さまから金銭を預かるような形で運用される場合は、資金決済法の抵触性を検討される必要があり、貴社のコンサルタントの方の問題意識は正しいものだと思います。

 資金決済法に触れるかどうかの判断は非常にシンプルです。貴社の「ポイント」が、「労務等提供の成果として付与されるもの」か「対価を支払って獲得されるもの(要はポイントを金銭で購入するもの)」かによって結論が異なります。
 「対価を支払って獲得されるもの」である場合は、「ポイント」の法的性質は、「前払式支払手段」として資金決済法の適用がある、ということになります。

(続きは、「日本流通産業新聞」1月20日号で)

〈プロフィール〉
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、約170社(うちネットワークビジネス企業約90社)の企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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