【千原弁護士の法律Q&A】▼359▲ エステ店でのNB勧誘への対策があれば。(2022年6月16日号)

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〈質問〉

 当社は、サプリと化粧品を扱うネットワークビジネス(NB)会社です。会員にはエステ店、美容院、整体院、接骨院などの経営者が相当数おります。当社のコンプライアンス会議において、会員Aさんの経営するエステ店で勧誘を受けた方からクレームがあった案件が議題に上がりました。特商法違反等もあったようです。法務部からは、上記のようなエステ店等でのNB勧誘はリスクがあるのではないかといった意見が出ています。先生はいかがお考えでしょうか。また対策があれば教えてください。(NB主宰会社社長)

〈回答〉 商品販売とリクルートは分けて考える必要が

 私のNBの顧問会社の中にも、同じくエステ店等の店舗を経営する会員を抱えている企業が多いように感じます。そうした会員は、店舗の顧客に対して商品を販売したり、NBのリクルートをしたりしています。このような会員には、多くの人とふれ合う機会がありますから、業務の中で、サプリや化粧品等の良さを訴求しやすいというメリットがあるのでしょう。

 そのようなメリットがある反面、貴社の法務部のご意見にあるとおり、特商法違反のリスクも高く、以下のようなポイントに注意する必要があると思います。
 商品の販売と、NBへのリクルートを分けて考える必要があります。

 (1)まず、商品の販売については、訪問販売規制に注意する必要があります。
 NBにおいて知人に販売する場合、事実上は訪問販売として問題になるケースは少ないと思います。一方、ご質問のような店舗(以下「本件店舗」と言います)において、一般顧客に販売する場合は、少なくとも初回は、訪問販売規制を守って、訪問販売用の契約書面を交付し、8日間のクーリング・オフを受けるのが良いと思います。
 2度目以降、顧客からのオーダーに応じて、商品販売を行うことは訪問販売にはならないと思います。
 この点、美容院やエステ店舗で化粧品を販売する場合、初回から「店舗販売」として訪問販売規制外と考える余地もありますが、具体的な勧誘の方法や商品の陳列の状況によっては訪問販売に該当すると判断されることもあり、訪問販売の適用があることを前提とするのがセーフティーな運用だと思います。

(続きは、「日本流通産業新聞」6月16日号で)

〈プロフィール〉
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、約170社(うちネットワークビジネス企業約90社)の企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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