【千原弁護士の法律Q&A】▼345▲ お客さまからの請求の場合は訪問販売ではない?(2021年11月4日号)

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〈質問〉

 当社は、チラシやネット広告で宣伝を行い、緊急水道工事や、鍵の修理のサービスを提供しています。お客さまから、電話やネットで発注をいただき、金額の見積もりを行い、お客さまのご自宅を訪問して工事を行っています。今回、消費生活センターが、消費者との間に入る問題が生じました。センターの見解によると、当社のビジネスは訪問販売に該当するので、特定商取引法の訪問販売の規制に則ったコンプライアンスを具備する必要がある、というものでした。当社では、「特商法の規定からすると、お客さまからの請求による場合は訪問販売ではない」という顧問弁護士の見解に基づき業務を行っていますが、間違っているのでしょうか。ちなみに問題となった案件では、消費者からトイレ修理のご要望を受け、見積もりを行った上でご自宅に伺いましたが、ご自宅でお客さまとお話し合いをした上で、トイレ自体を新しいものに交換する工事を行っています。(住設サービス提供会社社長)

〈回答〉 消費者側からの請求でも規制から外れるわけではない

 結論として言えば、貴社の行う業務は、訪問販売に該当する可能性が高いです。

 貴社の顧問弁護士の見解どおり、特商法26条6項1号において、「住居において」「契約の申し込みをし」たり「契約を締結することを請求した者」に対して行う訪問販売については、訪問販売の規制は適用除外となるとされています。
 ただ、消費者側からの請求で訪問すれば、全てが訪問販売規制から外れるというものではありません。

 この点についてちょうど、21年8月に消費者庁から「訪問販売等の適用除外に関するQ&A」が公表されました。
 この中で「鍵の修理3000円のチラシを見て修理依頼をしたところ、修理には特殊な作業が必要ということで代金は数万円になった」という事例が挙げられていました。

(続きは、「日本流通産業新聞」11月4日号で)

〈プロフィール〉
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、約170社(うちネットワークビジネス企業約90社)の企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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