【千原弁護士の法律Q&A】▼296▲ 特商法違反での全額返金、利息分も払う必要が?

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〈質問〉

 ネットワークビジネス(NB)企業で法務担当を務めています。先日、消費生活センターから連絡があり、特定商取引法違反の勧誘行為(不実告知)があったとのことで、会員登録料や、これまでの製品購入代金について、全額返金を求める申し出がありました。1年以上前の案件で、クーリング・オフ期間も中途解約期間も過ぎていましたが、紹介者に事実確認したところ、問題行為が認められたので、キャンセルと全額返金で応じることにし、ご本人の銀行口座へ全額振り込みを行いました。ところが当該会員は、購入に当たって、ご本人の判断にて消費者金融を利用されていたとのことで、当該利息分の支払も要求してきました。当社としては、原状回復分を上回る金額を返金することになり、納得がいきません。利息分も支払うべきか、ご教授いただけますでしょうか。(NB会社法務担当者)

〈回答〉 支払い金額分以上の返金は必要ない

 今回のキャンセルを法的に評価すると、消費者から、特商法上の不実告知取消権が行使された状況と考えられます。この取消権に基づく「原状回復義務」の履行としては、支払金額の返金で足りると思います。

(続きは、「日本流通産業新聞」11月7日号で)

〈プロフィール〉
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、130を超える企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、また、数多くの大規模企業再生・倒産事件を手掛けてきた。業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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