【ヒットの秘密】 忘れられない乾杯を提供 <「人生を共に生きるウイスキー」> 20年後に届く熟成酒、4分で売上1億円(2026年7月16日号)

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起案者のキリンビール 小島亨介氏

起案者のキリンビール 小島亨介氏

 キリンビール(本社東京都、堀口英樹社長)はこのほど、ウイスキーの熟成とともに顧客の人生に寄り添うことで、忘れられない乾杯を提供するサービス「人生を共に生きるウイスキー」の事業を開始した。6月29日、専用ECサイトで抽選販売をスタートした。同サービスのウイスキーの熟成期間は20年。期間中に、六つの熟成年のウイスキーのミニボトルが届き、20年目にフルボトルが届く。人生の移り変わりの節目ごとに、その時しか味わえないウイスキーの熟成度合いを体感できるという。25年6月にクラウドファンディングで先行販売を実施したところ、目標金額である1億円を開始から4分で達成。「Makuake」における単日での応援購入額の最高額を記録した。
 キリンビールは6月2日、事業開始に伴う発表会を開催した。起案者である小島亨介氏が登壇し、サービスの開発背景や、「Makuake」での成功要因、今後の事業計画について説明を行った。
 小島氏は同サービス開発のきっかけについて紹介。顧客から、「子どもの身長を刻んだ家の柱を捨てられず、家を立て直すとき、その柱の一部を新しい家に使用した」というエピソードを聞いたことだったと語った。「思い出は時間とともに価値になっていくことに気が付いた」(小島氏)と言う。
 ウイスキーも時間とともに価値が変わっていく。同サービスはウイスキーの熟成とともに、大切な人生の時間に寄り添いたいという思いから生まれたそうだ。
 「誕生、結婚、就職、定年など、人生には大切な節目がある。その節目からの人生の時間を、このウイスキーと一緒に迎えていただき、単なる商品ではなく、?未来の希望?をつくる体験を届けたい」(小島氏)としている。


■CF成功の要因は

 25年6月に実施したクラウドファンディングサービス「Makuake」での合計応援購入額は2億7000万円を突破し、7時間で完売となったという。SNS広告での告知を中心に行い、大型プロモーション施策は実施していなかったそうだ。
 それでも熱狂的な支持が集まった要因について小島氏は、「未来消費」にあると分析している。?未来に対するポジティブな希望を買う?という、新しい消費行動が市場を形成しているのだという。
 応援購入者から寄せられたコメントの特徴としても、お酒そのものより、「20年後の物語」という未来が語られていたという。


■ウイスキーファン以外を開拓

 購入者を分析すると、「最も好きな酒類はウイスキー以外」と回答した人が約60%となったそうだ。「20年後の特別な乾杯」という価値観に共感し購入する人もおり、ウイスキーのコアなファン以外の開拓に成功している。
 完売後も再販売の要望が多く、今回本格展開をスタートした。現在は専用のECサイトを通して、抽選販売を実施している。6月26日からはLINEの公式アカウントの「友だち」向けに、先行販売を開始していた。「人生を共に生きるウイスキー」アカウントの「友だち」数は13万人で、注目度の高さがうかがえる。


■20年後にお届け

 同サービスでは、2019~26年の間で、各年に蒸留されたウイスキー原酒から、希望の年代の商品を購入できる。選んだ原酒は、キリンディスティラリー富士御殿場蒸溜所のウイスキー樽内で熟成させるという。熟成期間は20年。0年、3年、7年、10年、13年、16年のタイミングで、ウイスキーのミニボトル(50ミリリットル)2本(合計12本)を届けるとしている。20年後には、フルボトル(700ミリリットル)が届く。熟成期間によって、それぞれ異なる個性や魅力が出るとしている。購入者の人生が移り行く時とともに、その時にしか味わえない特別な一杯を楽しめるのだという。価格は税込11万円。
 今後は、初年度で1万5000人の新規契約、28年までに5万人規模の事業に拡大していくという、短期・中期目標を掲げているという。

「人生を共に生きるウイスキー」

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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