【ヒットの秘密】「エンブレムスタンプ」の展開も強化 <キャラクター印鑑> 「脱ハンコ」覆しEC売上6割に(2026年4月9日号)

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「僕のヒーローアカデミア エンブレムスタンプ」

「僕のヒーローアカデミア エンブレムスタンプ」

 印章メーカーの岡田商会(本社大阪府、岡田一宏社長)は、キャラクターをデザインした印鑑の販売が、ECで好調だ。「脱ハンコ」の潮流をものともせず、売れ行きを伸ばしており、現在では同社の売り上げの約6割を、ECによる直販が占めるまでになっているという。ポケモンやサンリオなど人気IP(知的財産)とのコラボを積極的に展開している。最近では、人気アニメ「僕のヒーローアカデミア」のキャラクターを象徴するマークを印影に採用した「エンブレムスタンプ」の展開を強化しているという。
 同社は創業46年の老舗印章メーカー。近年のデジタル化や「脱ハンコ」の潮流により、業界全体が厳しい状況に置かれているという。同社もかつては価格競争に巻き込まれ、経営危機に直面した時期があったそうだ。
 転機となったのは、2016年に発売した、印影に猫のイラストを入れた「ねこずかん」シリーズがヒットしたことだったという。「事務用品」だったハンコを、「自分の好きなものを表現するツール」と再定義し、人気IPとのコラボ印鑑を相次いで展開していったとしている。
 同社の強みは、注文を受けてから製造するオーダーメード方式を採用している点にある。実店舗では、在庫リスクを恐れるあまり、ラインアップを人気キャラに絞らざるを得ないことが多い。一方、ECであればニッチなキャラクターも含めた全方位の展開が可能だという。ポケモンシリーズでは、実に649種類ものラインアップを展開し、ファンのニッチなニーズに対応している。
 同社では、SNSを活用したファンとのコミュニケーションにも注力している。版権元の公式アカウントを通じた発信も追い風にしつつ、自社ECサイトへの流入を最大化させているという。
 同社が最近注力しているのが、「僕のヒーローアカデミア」の「エンブレムスタンプ」の展開だ。直近では、印鑑タイプの新商品も投入したという。ユーザーから寄せられた、「従来のキャラクターの顔をデザインした印鑑は、人前で使うのが少し恥ずかしいという声を開発に反映。ファンなら一目で分かる、各キャラのコスチュームや個性を象徴する「エンブレム」をデザイン化することで、大人の日常使いや、ビジネスシーンでの需要を掘り起こしている。
 「作品のファンであることは主張したいが、実生活での使いやすさも重視したい」という、30~40代の女性を中心とした層のニーズを的確に捉えた。直径15ミリメートルという極小の印面の中に、版権元も驚くほどの、精密な彫刻技術を注ぎ込み、高いクオリティーを実現しているという。
 同社の常務取締役を務める岡山耕二郎氏は「デジタル化が進む今だからこそ、ハンコを押す、楽しさや価値を伝えていきたい」と語る。日本独自の印章文化を「アート」や「クールな日本文化」として世界へ発信する挑戦も始めているという。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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