【ヒットの予感】Cysayの化粧品原料 <「不死化ヒト乳歯歯髄幹細胞順化液」> 不死化技術で安定化とコストダウンに(2025年6月19日号)

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「ダーマインジェクター」

「ダーマインジェクター」

 不死化幹細胞培養上清の研究開発を行うCysay(サイセイ、本社東京都、山下靖弘社長)は、「不死化ヒト乳歯歯髄幹細胞順化液」を化粧品原料として提供している。同素材は、幹細胞を「不死化」させるという新たな技術によって生み出される原料だ。同社はIMS化(不死化)により、通常の細胞が持つ、「不安定性」という課題を克服した。同じ細胞から継続して製造することができるため、コストダウンにもつながるとしている。
 同社によると、一般的な幹細胞は、培養を続けると死滅したり、品質がばらついたりするという。
 同社の不死化技術(IMS化)を用いることで、幹細胞は衰えることなく増殖を続けることが可能となるという。これにより、常に安定した品質の培養上清液(培養液の上澄み)を大量に生産できるようになる。
 不死化された幹細胞から得られる培養上清液は、通常の幹細胞由来の成分と比較して、サイトカインやエクソソームといった有効成分の含有量が飛躍的に増加する点が特長だ。細胞増殖に関するデータでは、「不死化」した細胞と、「不死化」していない細胞を3日間比べると、「不死化」した細胞の方が、増殖スピードが10倍速いことが確認されているという。
 アンチエイジングをはじめとする多様な美容効果が期待できるとしている。
 化粧品原料としての安全性と品質管理も徹底されている。不死化に使用する細胞は、提供者のウイルス検査や病気のチェックを全てクリアした、厳選されたものだ。提供者は国内の一人の女性だという。
 一度不死化した細胞からは半永久的に同じ品質の原料を供給できるため、トレーサビリティーも明確に確保されているという。
 従来の幹細胞原料に見られた、品質のばらつきや、安全性への懸念を払拭できるようになったとしている。メーカーは、安心して製品開発に取り組むことができるという。
 「不死化ヒト乳歯歯髄幹細胞順化液」は主に、サロン向け化粧品や通販化粧品のOEM原料として提供されてきた実績があるという。すでに30種類以上の製品に採用されたとしている。
 同社は25年4月から、この原料について、本格的な事業展開を開始した。より多くのメーカーに利用してもらいやすいよう、少量の製品形態での提供や、OEMによる最終製品開発支援も強化していく方針だ。
 同社の大久保卓磨執行役員COOは、「今後は、『幹細胞の配合量を増やし、高い効果を追求したい』といったニーズも含め、幅広いニーズに対応していく」という。
 直近では、注入型の容器である「ダーマインジェクター」も開発。原料と組み合わせて市場で展開していくことを視野に入れているという。

細胞増殖比較

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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