【人】 <ベンナーズ 井口剛志社長>/「未利用魚」で”三方良し”実現へ(2023年2月23日号)

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 未利用魚のサブスクリプションサービス「Fishlle!(フィシュル)」を展開するベンナーズ(本社福岡県、井口剛志社長)は、「生産者」「消費者」「社会」が満足する”三方良し”の世界の実現を目指している。井口社長は「『未利用魚』が海の生態系の悪化の進行を止めつつ、生産者に利益を生み出す救いの一手になるはずだ」と考えている。
 未利用魚とは漁獲をしても、形が悪かったり、サイズが小さかったりするだけで、最終的に市場に流通しない魚のこと。
 未利用魚を使用した事業を開始した経緯について、「私の父は魚の卸売り業、祖父は水産加工業に関わる仕事をしており、私も小さい頃から魚と近い距離にいた。大学卒業後、課題が多い水産業界をなんとかしたいと思い、水産関連の仕事をしていたが、そのときに未利用魚の存在を知った」(井口社長)と振り返る。
 未利用魚は平均して水揚げ量の約3割程度を占めるとみられている。国際連合食糧農業機関の調査をもとに国内市場で計算すると、20年の日本の漁獲量は321万トンに及び、このうち30%が廃棄されていることになる。
 未利用魚の認知が広がることで、井口社長は、(1)魚の生態系を改善(2)未利用魚が売れることで生産者の収益が上がる(3)消費者は新たな魚を知ることができる─と期待している。

(続きは、「日本流通産業新聞」2月23日号で)

<プロフィール>
 1995年生まれ。福岡県出身。高校1年生の夏に参加した日本の次世代リーダー養成塾をきっかけに、福岡大学附属大濠高校を中退し単身で米国メーン州にある、ボーディングスクールに編入。ボストン大学経営学部卒。祖父母の代から続く水産卸売会社に従事している父の背中を見て育つ。水産業界の複雑な流通構造に疑問を持つと同時に、大学で学んだプラットフォーム型ビジネスモデルに可能性を感じ起業。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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