【ニュースの深層】□□122〈太陽光発電設置の義務化〉 パネル廃棄問題で再利用に注目(2022年9月8日号)

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 新築住宅などを対象に太陽光発電の設置義務化を進める東京都は、年内にも内容を固める方針だ。設置の義務化に向け、コストや設置場所など具体的な内容を詰めていく中で、太陽光発電を中心とした再生可能エネルギーの普及が期待されている。太陽光発電の販売企業も、電気料金の値上がりを背景に、戸建住宅や法人施設への設置工事が増えている。特に、法人は電気代などのエネルギーコスト増が収益を圧迫しており、導入を検討する企業が増加しているようだ。ただ、太陽光発電の普及には、行政と企業の関わりや廃棄問題など多くの課題も横たわる。

■コスト増の課題は

 東京都が進める太陽光発電設置の義務化で、焦点となっているのは、コスト増だ。太陽光発電の設置により、住宅の価格は上昇する。コスト増を理由に、住宅購入の検討を取りやめる消費者が増えればハウスメーカーやビルダーに影響が及ぶ。コスト増の課題に対し、都がどこまで踏み入れるのか。すでに、対応策を検討会資料などで一部公開しているものの、さらに内容の精査が求められる。
 新築だけでなく既存住宅への広がりも見過ごせない。都は、太陽光発電や蓄電池、給湯器などに対する補助金制度を定期的に実施しているが、申請が目立って増加しており、予算の消化が早い。再エネに関する補助金は、都だけでなく、どこでも早く予算に達してしまう状況だ。
 補助金を有効活用して、戸建住宅向けの受注を増やしてきた販売店からも、「今年は使えなかった」との声が上がっており、売り上げに影響が及ぶ例もある。


■法人需要の高まりも

 電気代などエネルギー関連の価格上昇は家計を圧迫しているだけでなく、企業のエネルギーコストにも影響を与えている。
 光熱費を抑えるため、太陽光発電による自家消費型に家庭からも企業からも注目が集まっている。戸建住宅だけではなく、小売店、オフィス、工場、商業施設などに太陽光発電を設置する法人施設向けの需要が増加。法人の場合、普段から光熱費が大きいぶん、太陽光発電設置によるコスト効果も高く、導入に前向きな姿勢を見せる企業は多いという。
 太陽光発電を訪問販売する企業では、法人施設関連からの問い合わせが増え、すでに工事を手掛けているところもある。訪販に限らず、通販型の住設企業も法人施設向けの営業を始めている。法人施設からの需要増加で今後は企業間競争が激しくなりそうだ。


■リユースにも期待

 太陽光発電が普及すれば、パネルの処理はさらに問題となる。

(続きは、「日本流通産業新聞」9月8日号で)
 

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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