【ニュースの深層】□□185 <東京都> 高齢者被害特別相談を実施/定期購入相談が30%と最多に(2025年11月27日号)

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 東京都は9月8日から3日間、高齢者被害特別相談を実施し、このほど相談結果を公表した。それによると、相談件数は前年同期比14%増の680件だった。相談の内容では、ネット通販(EC)の定期購入に関する相談が約30%を占めて最も多かった。また「分電盤(ブレーカー)の無料点検のために訪問する」といった点検商法に関する相談が目立った。相談者の構成比については、本人以外からの相談が約18%を占めており、家族や福祉関係者、介護事業者などの周囲からの相談も一定あることが分かった。

 「高齢者被害特別相談」は、関東甲信越ブロック「高齢者悪質商法被害防止共同キャンペーン」の一環として毎年9月に実施している。特別相談は、東京都や23区26市1町3消費者団体で同時期に行っている。
 販売形態別で最多の「通信販売」は212件で全体の31.2%を占めた。引き続き定期購入に関する相談が目立つという。一方、「訪問販売」は15.9%、「電話勧誘販売」は7.6%、「マルチ・マルチまがい」は1.2%にとどまり、通販が突出して多かった。
 都の消費生活総合センターの高村淳子相談課長は通販トラブルについて「手口が変わってきている」と指摘。例えばECサイトに「回数縛りなし」と表示されたサプリメントの定期購入に関する広告で、通常価格1万円が初回は2000円だったため、2回目以降は解約するつもりで注文したという相談が依然として目立つ。
 こうしたスマホ広告を入り口にしたシニアの定期購入に関する相談は都でも注意喚起を行っているものの減る傾向にない。高村相談課長は「事業者は、定期購入に関する注文画面を意図的な変更を繰り返しており、証拠が残らないようにしている」と話す。都では、注文画面のスクリーンショットを残すように注意喚起を行っている。


■「分電盤」の点検商法も顕著に

 無料点検をきっかけにガス給湯器や屋根などの工事を契約させる手口(点検商法)は以前からあるものの、警察による逮捕も相次いだこともあり減少傾向にある。それでも、分電盤の点検に関する相談は急増しており、25年度の上半期だけで都消費生活総合センターに寄せられた「分電盤」に関する相談は24年度1年間をすでに超える勢いだ。
 分電盤に点検トラブルについて、高村相談課長は「マンションなどの集合住宅にも分電盤はあり、対象となる消費者が多く、昼間に在宅のしている高齢者が狙われやすい」と話す。また、分電盤を含む家庭用電気設備は電力会社に4年に1回の定期点検(法定点検)が義務付けられており、高村課長は「点検で訪問すると連絡があった場合は、来訪の目的と事業者名を確認する必要がある」と注意を促す。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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