【ニュースの深層】□□142 <環境省、食品ロスの発生量を発表> 解決策は「共創」「寄付」(2023年7月20日号)

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 環境省は23年6月、21年度の国内における食品ロスの発生量の推計値を発表した。21年度の食品ロスの発生量は、前年と比べて1トン増加した約523万トンだった。だが、長期視点で見ると、令和元年の19年度から現在にかけて、食品ロスの発生量は減少しており、安定的な削減につながっている。さらに日本政府は30年度までに、食品ロスを489万トンまで削減することを掲げている。食品を取り扱う通販企業や、食品D2C企業は、どのような対策を実施していくべきなのか。有効な対応策を紹介する。

 食品ロスとは本来食べられるにも関わらず、廃棄されてしまう食品のこと。12年度の食品ロスの発生量は642万トンあった。21年度の発生量が523万トンのため、約10年間で100万トンを削減できたことになる。
 523万トンの食品ロスは、日本人1人当たりに換算すると、毎日お茶碗1杯分のご飯を廃棄していることになる。
 食品ロスは、(1)個人が自宅で購入した食品を食べきれず捨ててしまう(2)企業が想定よりも商品を売り切れず廃棄する─の2種類が存在する。
 まだまだ発生する食品ロスの廃棄量は多い。通販企業やD2C企業はどのようにして削減につなげていくべきなのか。環境省によると、さまざまな有効な手段があると断言する。
 「通販企業の場合では、自社サイトで食品ロス商品を販売すること、そこで売り上げが伸びなかったら、『Kuradashi(クラダシ)』のような食品ロス専門の通販サイトへの卸売り、学校給食への寄付、急速冷凍商品としての販売などが挙げられる」(環境省環境再生・資源循環局総務課リサイクル推進室)と説明する。
 多くの食品通販企業は、賞味期限近い商品を、「訳あり品」として、通常価格よりも安い販売価格で販売している。だが、全ての食品ロス商品を裁き切れるわけではない。
 過去販売できた「訳あり品」の実績を踏まえ、余ると予測できる食品ロスは、「Kuradashi」のような、食品ロス専門の通販サイトとして、認知度が高いサイトへ卸売りするのも有効だろう。一社で食品ロス削減につなげるよりも、複数社で手を取り合っていくことが、確実な食品ロス削減につながるといえる。


■他社と被らないPRにも

 食品ロスは、削減方法の手段によっては、自社のSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みとして周知できる可能性があるという。
 「自社の通販サイトで食品ロス商品を販売するのも手だが、学校給食に原材料として寄付したりすることで、新しい取り組みをしている企業として注目を集めることもある」(同)とみている。
 食品ロスは食品の通販企業やD2C企業にとって重要な問題だ。廃棄すると廃棄量がかかり、コストが生じる。そのため、多くの企業は、「訳あり品」や「卸売り」などを通じて、少しでも売り上げ確保に動いている。
 同時に手段次第では、自社のブランディングにつながることもあるようだ。食品ロスの対処は、手間がかかるが、食品ロスの削減につながりつつ、企業・ブランドのイメージアップにつながる方法はある。企業のこれからの動向に注目したい。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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