【ニュースの深層】□□112〈「東京都消費生活基本計画」改定案〉 デジタル被害防止に専門人材を登用(2021年12月9日・16日合併号)

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 東京都は、令和5年度から5カ年の「東京都消費生活基本計画」の改定に向けた中間とりまとめ案を示した。このほど開催した「第26次東京都消費生活対策審議会・第3回総会」で、計画の方向性を示した。デジタル技術に詳しい人材の登用を目指すほか、高齢者向けの被害防止策では、地域の福祉部門との見守り活動を一段と強化する考えだ。22年1月4日までパブリックコメントを募集しており、22年2月開催の総会で答申を行う計画だ。

■アプリ勧誘などデジタル被害を対策

 都が示した「中間とりまとめ案」では、悪質事業者の指導や処分の強化策として、インターネット広告やアプリを利用した勧誘、暗号資産の詐欺的なトラブルなど新たな手口による被害が増加している点を指摘。デジタル技術に詳しい高い専門性を備えた人材の確保を進める。職員への研修の強化や知識・経験を持つ幅広い人材の登用を視野に入れる。広域で営業する事業者によるトラブルの対応をするために国や他県との連携を進める。
 不当表示については、専門性の高い人材を登用するほか、継続的なインターネット広告の監視体制の強化、国や業界団体との連携も図る。健全な市場を形成するため、受講しやすい講習会に工夫を施すほか、事業者団体と連携し、自主的な取り組みを促す考えだ。


高齢者への見守り、相談対応も強化

 高齢者の消費者被害を未然に防ぐことを目的とした、地域での見守り機能の向上を目指す。区市町村における高齢者の消費者被害防止のための「見守りネットワークの構築」を促すため、都内で構築されていない八つの区市に対して、都から導入を働きかけるアウトリーチ活動を実施する。
 また、過去のヒアリング内容も踏まえて現状を把握し、各区市町村の実情に応じたきめ細かいアドバイス(福祉部門との連携方法、他区市町村の取組み事例の紹介など)を行い、ネットワークの構築につなげる。
 見守り人材の育成を担う高齢者見守り人材向け出前講座の充実のほか、高齢者福祉部門などと協力し、地域での消費生活部門と福祉部門との連携を強める。
 また、宅配事業者と連携し、四コマ漫画などを活用した、分かりやすくトラブルを解説するリーフレットを高齢者に直接声掛けをしながら配布して注意喚起を行うなど、見守りネットワークの活性化に向けた支援を引き続き行う必要があるとした。「判断不十分者契約に関する相談」も一定件数はあることを背景に、自ら問題を解決することができない高齢者に対しては、相談対応力を高める方針。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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