【ニュースの深層】□□78 「優良防犯電話」/着信拒否の共有進む

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 (公財)全国防犯協会連合会(本部東京都)は4月、優れた防犯機能を持つ電話、「優良防犯電話」の認定制度を新設した。6月16日には19品目を初認定。現在は、「推奨シール」が貼られた認定商品がすでに販売されている。
 認定制度が始まった背景には、「振り込め詐欺」や「オレオレ詐欺」が減らないことがある。優良防犯電話は詐欺電話の対策として期待されている。
 防犯電話についてはこれまでは各地域の防犯協会が推奨や配布を行っていたが、各協会の取り組みにまとまりがなかったという。そこで、全国的な防犯電話の統一基準を作るべく、「優良防犯電話」の制度が作られた。
 優良防犯電話として認められるためには、(1)自動的に録音を行う(2)録音する旨を通知する音声が着信時に流れる(3)官公庁などが持つ迷惑電話データベースに登録された番号からの着信を拒否したり警告したりするーーーといった機能を備えている必要がある。「迷惑電話データベース」に、詐欺以外の事業者も登録されることはないのだろうか。
 優良防犯電話の認定を得た19品目は、メーカー問わず全製品で、トビラシステムズ(本社愛知県、明田篤社長)が開発した迷惑電話データベース「トビラフォン」を採用している。例えば、シャープ製の電話機を購入した顧客も、データベース使用のためにトビラシステムズと別に契約を行う仕組みとなっている。
 トビラシステムズのデータベースは主に3種類の着信拒否リストで構成されている。
 (1)同社がインターネットなどから集めた番号(2)警察が集めた通報・逮捕者の番号(3)防犯電話の利用者が着信拒否として登録した番号ーーーの3種類だという。現在データベースには計約2万5000件が登録されている。
 テレアポ事業者などにとって、特に影響が大きそうなのは(3)の「利用者による着信拒否リスト」だ。テレアポ訪販などの事業者が着信拒否にされた場合、その番号がデータベースに登録される可能性は否めない。着信拒否にした人数や、一定時期に集中しているか等を調べた結果を踏まえて、データベースに登録するかを決定するという。
 詐欺業者ではない一般企業は、専用の書類を用いて、登録取り消しを申請することもできる。ただ、これまで企業からの問い合わせはほぼ皆無だと言う。
 同社のデータベースの利用者は、全てのメーカーを合わせて現在10万人。認定制度の開始後も急増した訳ではないという。
 今後、防犯電話の利用者は増えるのか、利用者が増えると、事業者がデータベースに登録される事態が増えないか。「優良防犯電話」が業界に与える影響を今後見定めていく必要があるだろう。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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