【ニュースの深層】□□96 〈政府 大手IT企業規制にアクセル〉/官邸に有識者会議設置

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 政府は、デジタル・プラットフォーマーと呼ばれる大手IT企業の規制を強化する方向に舵を切るようだ。政府は9月19日、総理官邸で開催された未来投資会議において、大手IT企業と中小企業の取引透明化などについて検討する「デジタル市場競争本部」を設置すると発表。デジタル市場における個人情報の在り方などについても検討する方針を示した。政府は20年の通常国会で、ECモールと出店・出品事業者の間の取引透明化を図る法案の国会提出も予定している。大手IT企業を規制する動きが活発化している。

■独禁法の専門家もメンバーに

 9月19日に開催された未来投資会議で、安倍晋三首相は、今後の政府が描く成長戦略の一つとして、「デジタル市場のルール整備」を行うことを明らかにした。菅義偉官房長官を本部長とする「デジタル市場競争本部」を設置。同組織では、大手IT企業(デジタル・プラットフォーマー)と中小企業の間の取引透明化などについて検討するという。個人情報保護の在り方なども議題に上がるとしている。デジタル・プラットフォーマーには、グーグルやAmazonといった外資系大手IT企業のほか、楽天やヤフーといった国内のECモールなども含まれる。GAFAなど海外大手プラットフォーマーへの規制強化が、同本部立ち上げの主目的の一つとしてみられるが、国内プラットフォーマーにも影響を与える「もろ刃の剣」の側面を持つ。
 「デジタル市場競争本部」には、官房長官を筆頭に、経済再生担当大臣、IT政策担当大臣、総務大臣などが参加する。公正取引委員長の出席も求めるとしている。
 「デジタル市場競争本部」の下には、「デジタル市場競争会議」という有識者会議を置く。ソフトバンクグループの取締役でもある、東京大学大学院の松尾豊教授や、独禁法分野の専門家である泉水文雄・神戸大学大学院教授もメンバーであることから、デジタル市場の取引上の問題点などについて多面的な検討がなされるものとみられている。
 政府は6月、ECモールと出店・出品者との取引関係に関する「デジタル・プラットフォーマー取引透明化法(仮称)」を、20年の通常国会に提出する方針を閣議決定している。

(続きは、「日本流通産業新聞」9月26日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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