【ニュースの深層】□□115〈消費者委員会 SNS勧誘規制の議論開始〉/フリマ転売、副業トラブルを問題視 (2022年3月24日号)

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 消費者委員会は、SNSの投稿や広告、勧誘行為のトラブル被害を防止することを目的に、「デジタル化に伴う消費者問題 ワーキング・グループ」を発足させた。消費生活相談の事例をもとに、SNSに関するトラブルの実態把握を行い、課題を整理する。関連法令や業界の自主的な取り組みの在り方、消費者のデジタルリテラシーの向上策などを検討する考えだ。2月28日に第1回目の会合を開催し、月1~2回の頻度で検討を進め、8月までにとりまとめる。

 SNSなどネット上の勧誘情報や広告掲載をきっかけとする消費者トラブルが増えている。3月10日に開催した第2回会合で、国民生活センターが提示した資料によると、SNS関連の相談件数は20年度に4万5000件と急増。SNS関連相談の年齢層は20代が26.4%と最も多かった。4月から成年年齢が18歳に引き下げられる民法改正に伴い、若年層の消費者トラブルの増加が懸念されている。
 消費者委員会が問題視しているのは、情報商材、オンラインサロン、副業、ネット転売などの取引行為。多くは勧誘時のツールとしてSNSが利用され、友達登録後、オンラインセミナー、対面、電話などで商品やサービスの説明から契約に至っている事例が目立つ。
 事務局では、「SNSで情報商材を購入し、さらに高額な契約を勧められた」「オンラインサロンを契約したが、事業者の住所や電話番号が分からない」といったトラブル事例を提示。4月以降、関係団体や有識者、関係省庁からヒアリングするほか、オブザーバーからのプレゼンテーションを経て、8月をめどに取りまとめる。


■「電話勧誘販売」と指摘

 3月10日に開催した第2回会合では、池本誠司弁護士が「SNS等をきっかけとした消費者トラブルと被害防止・救済の課題」とした資料を提出した。
 池本弁護士は、SNSで勧誘する場合に、勧誘目的を告げずに電話をするように誘ったり、ウェブ会議にアクセスするよう誘う場合は、「アポイントメントセールス型電話勧誘販売」に該当すると指摘した。
 また、SNSメッセージで虚偽・誇大な説明が行われ、購入申し込みを行った場合に契約取り消しが可能かどうかについては、文字によるメッセージのやり取りが勧誘か広告なのかの解釈が問われるとした。


■SNS勧誘で業務停止も

 行政もSNS勧誘を端緒とした規制を強化している。
 中部経済産業局は3月、特定商取引法に基づき、化粧品や健康食品を連鎖販売取引するARK(アーク、本社東京都)に対して3カ月間の業務停止を命じた。勧誘に先立って「副業に興味ない?」「ぼくは口コミのバイトみたいなことをしている」「社会人のサークルで、ボーリングをやる。先輩が連れてきてもいいって言う」などと話すのみで、勧誘目的であることを明らかにしていなかった。
 ネットワークビジネス(NB)でもリクルートのオンライン化が進み、SNSを活用するケースも目立つ。主宰企業で運用ルールをきちんと規定しつつ、会員への周知徹底を図ることがいっそう求められそうだ。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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