【EC注目株!】第26回〈ユー・エス・エス〉 中古車ネットオークションの草分け 厳しい環境下増益計上/基本姿勢は「押し目拾い・中長期保有良策」と心すべき

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千葉明氏

千葉明氏

 ユー・エス・エス(4732)は中古車ネットオークションの草分け的存在で業界首位。
 強靭なEC企業といえる。同社を取り巻く市場環境は厳しく、自販連が発表する中古車販売台数の推移にそれは顕著だ。1997年の570万台をピークに2006年には500万台を、09年には400万台も割り込んだ。12年には「エコカー補助金」効果で下取り中古車数が久方ぶりに増加し400万台を回復したが、補助金廃止の反動で13年には300万台余りに急減した。
 そうした状況下でもユー・エス・エスの前14年3月期は期初予想を大幅に上回る増益(11・5%の営業増益)。そして今期も「1%の営業増益(330億円)」と慎重ながら増益を計画する。
 特筆すべきは前期まで17期連続の増配、今期も増配計画という点。日本の上場企業にあって今12月期計画で25期連続増配を打ち出している花王に次ぐ長期にわたる連続増配企業。隙のないビジネスモデル(収益構造)が構築され着実な利益の積み重ねなくてなせる業ではない。前期を同社のIR担当者は「成約率の上昇に加え、出品点数に応じた手数料の割引制度の見直しや衛星TVによる落札手数料の値上げが寄与」と説明する。業界首位(シェア約3分の1)ゆえにとれた策が功を奏したといえよう。
 首位堅持を意図したユー・エス・エスの徹底した施策は評価に値する。前期も前々期比でオークション回数を6回増やしている。それが「出店台数4・8%増、成約台数9・7%増、成約率2・9%ポイント増」を牽引している。費用対効果を緻密にはじける企業といえる。
 IR担当者はなんとも興味深い言葉を口にした。
「うちは配当性向45%目標を掲げています。安藤(CEO)は連続増配を意識した経営を執っています。連続増配を実現するためにはどのくらいの税引き後利益が必要かを基に経営戦略・戦術を決めています」
 配当(政策)重視する外国人投資家が同社の発行済み株式の40%近くを保有するのも頷ける。
 さてユー・エス・エス株とどう付き合うか。11年4月1日からの3年間余の投資パフォーマンスは3・58倍。今年に入っての値動きは3月17日の安値(1318円)から8月4日の1863円まで上伸、10月に1452円まで調整し時価は1700円台終盤(高値ゾーン)。何が言いたいのかといえば「高値更新の期待」もよいが、基本姿勢は「押し目拾い・中長期保有良策」と心すべきと強調しておきたい。


〈筆者プロフィール〉
千葉明(ちば・あきら)氏
 昭和24年(1949年)6月18日、群馬県前橋市生まれ。群馬県立前橋高等学校、明治大学政経学部卒業。1973年4月、日本短波放送(現日経ラジオ社)入社。1976年5月、経済評論家・亀岡大郎氏に師事。1982年6月、独立、(有)オフィスエーシー設立。そして自営のいまも、新聞・雑誌の原稿作成、書籍上梓、講演活動に従事。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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