【EC注目株!】第38回〈白鳩〉 創業50年 インナーに特化したネット通販で躍進/年初来安値で下げ止まる傾向みせ 時価拾いで様子見が賢明

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千葉明(ちば・あきら)氏

千葉明(ちば・あきら)氏

白鳩(3192)は、女性用下着を主力商品にネット通販を展開している。今期中間期(2月)末時点の取り扱いアイテム数は、約1万点(下着約97%)。
 今年10月で創業50年を迎える。当初はパンストの職域販売でスタート。その後、カタログ販売や店舗販売を経てネット通販に舵を180度切ったのは1995年。ウィンドウズ95の発売時期に重なる。「大舵」を社長室のIR担当者は、「当時はカタログ販売を行っていましたので、『インターネットは紙が不要かつ改変が無限大のカタログ』に見えたのです。インナーに特化したネット通販への転換が、当社の今日を築いたと認識しています」と振り返る。
 ショッピングモールへの出店と自社サイト展開の二本立てだが、自社サイトの「進化」に注力している。例えば、売上高比率が高いブラジャー(ガードルと合わせ約55%)。360度のビューが導入されている。「手に取って確認できる」のと同様の仕様という次第だ。
 PB商品開発も積極的。IR担当者は、「ショッピングモールにはインナーを出品する業者が少なくありません。商品の差別化が不可欠です。また、主体的な適正価格の設定が可能になります。そして小売業の原点は、お客さまの声に常に敏感であることです。言い換えれば、適宜お客さまが真に求める商品を提供していかなければなりません」と、PB注力の背景を指折り数えた。ちなみにPB商品の生産は既存の仕入先メーカーへの委託(ファブレス)方式だ。
 自社配送センター内の倉庫に、常時15万点余りの商品がストックされている。注文品の配送は自社で完結。「仕入れ/サイト作成・サイト販売/梱包・配送」の一気通貫体制が整っている。そして付け加えておきたいのが、ネット通販が抱える”返品”問題への対応。返品交換の簡易化策として佐川急便と提携した「回収くん」サービスが稼働している。
 海外市場への対応も着実に進み始めている。楽天などショッピングモールの海外店の拡充と同時に、自社サイトの国際化に着手している。昨年2月、自社サイトに”英語・中国語版”が追加された。
 さて創業50年の節目を迎え、「配当性向30%を基本方針とする」(IR担当者)という白鳩を株式投資の対象としてどう取り組むか。4月14日、通期計画を下方修正した。しかし株価は3月10日の年初来安値(521円)で下げ止まる傾向をみせ、時価は500円台終盤。5月に改訂作業をした四季報は、期初予想を据え置いた。時価拾いで様子見が賢明。


〈筆者プロフィール〉
千葉明(ちば・あきら)氏
 昭和24年(1949年)6月18日、群馬県前橋市生まれ。群馬県立前橋高等学校、明治大学政経学部卒業。1973年4月、日本短波放送(現日経ラジオ社)入社。1976年5月、経済評論家・亀岡大郎氏に師事。1982年6月、独立、(有)オフィスエーシー設立。そして自営のいまも、新聞・雑誌の原稿作成、書籍上梓、講演活動に従事。

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