【EC注目株!】第30回〈エニグモ〉 「成約手数料」「決済手数料」の両輪体制で急成長/まずはIFIS目標平均株価1400円視野も一法

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千葉明氏

千葉明氏

 エニグモ(3665、1月期)は、服飾品主体の通販サイト「バイマ」を展開している。急成長階段を昇っている最中で、前期も期中に上方修正し、「27%増収、43%営業増益、39%最終増益」で着地した。
 2015年1月期も、「30・5%の増収(23億7900万円)、17・4%の営業増益(10億円)、17・8%の最終増益(6億160万円)」計画。営業増益率予想を17・4%と前期比半分水準に止めているのは、「一段の知名度向上を図るべく露出度(広告宣伝費)を増やすため」(広報担当者)。
 しかし第3四半期実績の通期計画に対する進捗率は「営業利益83%、純益57%」。通期上方修正の公算が高いとする見方が支配的だ。
 成長を支える収益構造が特徴的。サイトへの出品会員者からの「成約手数料:売却価格の5~7%」と、「購入会員者からの決済手数料:買値の5%」の両輪体制が執られている。
 会員数は14年10月末時点で前年同期比35%強増(200万人を一気に突破)、アクティブ会員数も14%強増の51万4000人弱と伸長。
 伸びるにはそれだけの理由がある。要約すると以下のような具合である。
 (1)内外5800以上という幅広いブランドの商品が販売対象となっている(2)海外商品は、世界114カ国に配置されたパーソナルショッパーが直接購入。それゆえに”割安”(3)リアル店舗でもサイト上でも見つからない稀な商品は、各国のパーソナルショッパー(約6万3000人)に直接リクエストする体制が整備されており、購入が可能(4)例えば偽造品などに対する、あんしん補償制度が充実─。
 さて、そんなECの成長企業株に対してはどんな投資姿勢が肝要か。中小型成長株投資を考える物差しの一つに、PEGレシオ(時価予想PER÷EPS平均成長率)がある。分母は上場(12年7月)直前の12年1月期から今期予想含め31%。分子は31倍余。算出数値は1・01。経験則は「買い余地あり」と教えている(四季報は、2倍以下は投資対象姿勢)。
 エニグモは前期の1対2に続き、今期も8月1日に1対5の株式分割を実施。分割を勘案後の14年の株価推移は、2月4日の829円を安値に8月4日の1485円まで上昇。その後10月の969円まで調整し11月に1213円まで戻し、時価は900円台前半水準でもみ合い。
 着実に利益剰余金を積み重ねている無借金企業。配当実施も遠くはない。
 まずは、IFIS目標平均株価1400円視野も一法。


〈筆者プロフィール〉
千葉明(ちば・あきら)氏
 昭和24年(1949年)6月18日、群馬県前橋市生まれ。群馬県立前橋高等学校、明治大学政経学部卒業。1973年4月、日本短波放送(現日経ラジオ社)入社。1976年5月、経済評論家・亀岡大郎氏に師事。1982年6月、独立、(有)オフィスエーシー設立。そして自営のいまも、新聞・雑誌の原稿作成、書籍上梓、講演活動に従事。

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