【EC注目株!】第57回ファンケル/「売上1250億円目標」の新中計施策でさらなる飛躍

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 ファンケル(4921)の看板は「無添加化粧品」。化粧品メーカーとして存在を広く知らしめた〝無添加〟の三文字は、創業者で現会長の池森賢二氏の強い意志で生まれた。
 1970年代、化粧品被害(黒皮症)が社会問題化した。原因は防腐剤。当時の厚生省は、皮膚に害を及ぼしそうな成分を分析・指定し、化粧品に含有成分の表示を義務付けた。
 池森氏は、「表示指定成分が一切入っていない化粧品の開発」に取り組んだ。結果、無添加化粧品が登壇。現在は化粧品に加えてサプリメントが主柱の一方、伸長商品が芽を出している。
 ファンケルのもう一つの顔はその販売方法。通信販売だ。ネット通販による受注率が52・5%(前3月期末)に及ぶ。この販売手法も無添加化粧品に起因する。広報担当者は「無添加ゆえに傷みやすい。定量を使い終わったらすぐにリピーターの手元に届くことが肝要。それには通信販売が最適」とした。
 アナリストは、「化粧品だけで今日のファンケルが成り立っていたかは疑問」とする。その意味で上記のようにサプリメントが一方の柱に育ち、また新たな成長の芽が生まれてきているのは、「一つの事業は永遠ではない」という池森氏の実業家としての慧眼によるもの。
 今16年度から18年度に至る新中計が進められている。「売上1250億円、営業利益100億円、ROE8%以上目標」という中計の施策で目を引くのは、「広告先行戦略」と「直営店舗の拡大(173店舗16年1月末)」。そこには知名度のさらなるアップ、通販と実店舗販売の「オムニチャネル」戦略の推進が読み取れる。
 「売上高目標の前期比1・6倍強はうなずけるが、対して営業利益目標がいかにも物足りない」という指摘もある。そうした声に広報担当者は「売り上げの伸びに利益はついてくるもの。まず売り上げ増というのが池森の考え方です」と代弁。「インバウンド効果で直営店の販売が急増しています。〝えんきん〟など機能性表示食品もおかげさまで順調です」と加えた。

(続きはネット経済新聞3月24日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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