【強い通販化粧品会社になるために~基礎講座Q&A】◇78◇ パートナー企業からの施策案提案の実施に踏み切れない (2022年1月20日号)

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〈Q〉

 創業10年目になる通販化粧品会社。先日、パートナーである企画会社から、販売促進の新しい施策の提案があったが、投資金額とその回収見込みのめどが立たず、社内の意見も割れているため、実施に踏み切れないでいます。何か良い判断基準を教えてください。(中堅の通販化粧品会社)

〈A〉 顧客に役立つか、喜ばれるかを基本に

◆リターン予測は困難

 通販化粧品の企画制作の提案をメイン業務にしている弊社では、お得意先企業と何度となく検討してきた内容です。例えば「それを実施したら、レスポンス率は何%くらい上がるのか」「どのぐらいの人が提案のクロスセル商品を買ってくれるのか」などなど。新たな施策を提案すると、毎回と言っていいほど、同じような質問を受けます。
 私はそのつど、「御社の場合はどういうリターンになるか、正確には分かりません」と答えます。弊社は通販化粧品の販促業務を40年近くお手伝いしているので、〇〇社のあのときは〇〇だったという記憶は残っていますが、それは直接的にあまり役に立ちません。
 その理由は、同じ通販化粧品と言っても、商品も集客方法も異なり、これまでの顧客育成方法も異なるので、たったひとつの施策だけでリターンを予測するのはとても難しいことだからです。
 何よりも運営している会社の特徴や個性が異なるため、お客さまの個性も異なります。比較するのであれば、自社のこれまでの施策の結果データをつぶさに振り返って、予測する以外にないと思っています。
 それは各社の営業方針や販売計画に反映されているはずなので、つまりは目標に対して提案された企画内容のどの内容が、目標を達成する可能性が高いか、という選択の問題です。ゼロから効果を予測するのとは異なります。


◆方針に沿っているか

 その選択の「決断」には、単なるレスポンス率だけではなく、お客さまのニーズや会社の将来像などさまざまな思いが込められるはずです。そのような「さまざまな思い」を忘れて、単なる他社データを頼りに施策を決断するのは、間違っていると言えます。

(続きは、「日本流通産業新聞」1月20日号で)

〈プロフィール〉
 鯉渕登志子(こいぶち・としこ)氏 アパレル業界団体、カネボウファッション研究所を経て(株)フォー・レディーを設立。化粧品通販を中心に「女性のための女性による広告制作」を手掛けている。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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