【インフォマーシャル〈出稿量データから見る商品戦略〉】第28回 定番化していく健食のツーステップマーケ(2022年1月1日新年特大号)

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 1日に何千分、何万分と流されるインフォマーシャル。よく見る商品もあれば、たまに目新しい商品も登場する。しかし、どんな商品も放送回数や放送分数、放送時期などをじっくり調べてみると、売れる理由や各社の戦略・努力が見えてくる。今回は、ツーステップマーケティングの増加傾向を、商品数と放送時間から確認してみた。

■商品数も時間も増加

 D2Cのビジネスでは、売り上げを上げるため、ツーステップマーケティングで定期購入につなげる方法がよく利用される。まずは、安価な試供品などを販売し、その後の本商品の定期購入につなげる手法だ。
 インフォマーシャルにおいても、特に放送時間が最も多いカテゴリーの健康食品では、こうしたビジネスモデルがよく見かけられるようになっている。
 以前よりもツーステップマーケティングの商品が増えている印象があるため、過去のデータと比較してみた。
 まず、放送された商品のオファー価格を「1000円以下」「1001~2000円」「2001~5000円」「5001円以上」に分け、商品数の割合をデータにした。価格だけでツーステップマーケティングであると断言はできないが、放送されている多くの健康食品の価格を鑑みると、「1000円以下」はほぼツーステップマーケティング、また「1001~2000円」もツーステップマーケティングの商品が多いと推測できる。
 22年の1―10月の価格分布と、インフォマーシャル調査会社のハニーマスタードがデータ収集を開始した2013年の同期間の価格分布とを比較してみる。
 結果は一目瞭然だ。「1000円以下」の商品数は13年が全体の19%だったのに対し、22年は31%。「1001~2000円」も含めれば、13年は36%だったものが、22年は53%に増えている。
 一方、本製品の販売とほぼ推測される、「5001円以上」の商品の割合については、13年が28%だったのに対して、22年は17%となっており、こちらは減少している。
 放送時間で見ても、特に「1000円以下」に関しては、13年が14%、22年が39%と大幅に増えていることが分かる。
 最初は消費者が手を出しやすい価格でオファーしなければ簡単には購入につながりにくいという意識が、通販事業者において一般化してきているのだろう。消費者において、「初回は安く手に入れるもの」という意識が常識化しつつあるともいえそうだ。ツーステップマーケティングが、インフォマーシャルで売り上げやLTVを上げるための重要な要素のひとつになっていることがデータからも推測できる。


■アップセル技術も向上

(続きは、「日本流通産業新聞」1月1日新年特大号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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