【インフォマーシャル〈出稿量データから見る商品戦略〉】第26回 総合通販へと成長するジャパネットたかた(2022年9月22日号)

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 1日に何千分、何万分と流されるインフォマーシャル。よく見る商品もあれば、たまに目新しい商品も登場する。しかし、どんな商品も放送回数や放送分数、放送時期などをじっくり調べてみると、売れる理由や各社の戦略・努力が見えてくる。今回は、「家電」のイメージが強かったジャパネットたかたの商品カテゴリーの変化を見てみた。

■家電の割合が減少

 ジャパネットたかたと聞くと、「家電」「独特な語り口の高田明前社長」を思い浮かべる人が多いだろう。しかし、多くの消費者は、高田明氏が2015年に社長を引退したことを知っている。また、多くの業界関係者は、現在のジャパネットたかたが必ずしも家電にばかり注力しているわけではないことを認識していると思われる。
 そこで、ジャパネットたかたのインフォマーシャルの取扱商品がどのように変化しているのかを具体的なデータで確認するため、カテゴリー別の放送分数の割合を、13年(インフォマーシャル調査会社のハニーマスタードがデータ収集を開始した頃)と22年で比較してみた=グラフ参照。
 その結果、13年当時はやはり、「生活家電」が40・2%もの放送分数を占めていたことが分かった。次に続いていたのも、「掃除用品・掃除家電」と「キッチン用品・キッチン家電」で、どちらも家電に近いカテゴリーといっていいだろう。逆に言うと、今挙げた三つのカテゴリー以外のカテゴリーは、どれも数%の割合でしかなかった。
 21年のグラフを見ると、大きく変化していることが分かる。「生活家電」の取り扱いも依然少なくはないが、これに匹敵するぐらいの割合で放送されるカテゴリーが増えているように見受けられる。
 「生活家電」は19.3%、「掃除用品・掃除家電」は17.6%、「キッチン用品・キッチン家電」は14.5%。そして、13年当時は割合が少なかった「寝具」が15.1%を占めるまでになっている。「ホームDIY、インテリア、雑貨、ホビー」も12.9%となり、「食品・飲料」も12.5%となっている。
 とはいえ、同社が家電の放送分数を減らしているわけではない。13年の「生活家電」の放送分数は3万5662分だったが、21年は3万7243分となっており、むしろ増えている。
 ちなみに、全カテゴリーを合計した放送分数は、13年が8万8789分、21年は19万2912分で2倍以上に増加している。13年12月期のジャパネットたかたの売上高は1423億円だったが、21年12月期は、ジャパネットホールディングスの連結売上高が2506億円(本紙調査「売上高ランキング」より)となるなど大きく成長している。
 インフォマーシャル調査会社であるハニーマスタードの山條暁博社長は、「ジャパネットたかたが”総合通販屋さん”へと変化していることは、インフォマーシャルのデータで裏付けられる。”家電屋さん”というイメージから脱却していることに気付いてはいても、これほどカテゴリーの比率が変化していることに驚きを感じる人も多いのではないだろうか」と話す。


■食品がトップに

(続きは、「日本流通産業新聞」9月22日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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