【インフォマーシャル〈出稿量データから見る商品戦略〉】第3回 出稿グラフから見る年末商戦

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 1日に何千分、何万分と流されるインフォマーシャル。よく見る商品もあれば、たまに目新しい商品も登場する。しかし、どんな商品も放送回数や放送分数、放送時期などをじっくり調べてみると、売れる理由や各社の戦略・努力が見えてくる。今回は、年末に向けた2~3カ月の出稿量を調査。2019年の年末商戦にどんなトレンドがあったのかを見ていこう。

■掃除関連が減少傾向

 年末に向けた2~3カ月は、大掃除や正月などに関する特定の商品の出稿が増える時期だ。グラフを見ると実際に、掃除用品・掃除家電、おせち、カニといった商品のインフォマーシャルの出稿量が、年末になるたびに圧倒的に増えているのが分かる。
 掃除用品・掃除家電の出稿量にいたっては、ピークの12月、通常時の約2倍に当たる2万5000分前後まで一気に跳ね上がる。
 年末の大掃除に向け、消費者にも「新しい道具できれいに掃除しておきたい」という気持ちが湧いてくる。そこを狙った出稿が増えるということなのだろう。
 ただ、2017年末、18年末、19年末と、ピーク時の掃除用品・掃除家電の出稿量の推移をみると、やや右肩下がりになっているようにもみえる。インフォマーシャル調査会社であるハニーマスタードの山條暁博社長は、この理由を「この2年は、掃除機のヒット商品がなかったからではないか」と分析している。
 実際、通販業界において、18年末にインフォマーシャルの放送枠を埋めることに苦労する様子が見受けられたそうだ。後に分析をしてみて、毎年年末に増えるはずの掃除用品・掃除家電の出稿量が少なかったことが原因として明らかになったのだという。
 確かに、人気の根強そうなダイソンも、近年は新鮮味が薄れてきた感じが否めないし、一時期はやった「レイコップ」のCMも、最近は見かける機会がほとんどなくなった。それらに代わるヒット商品が出ていないようにも思われる。
 19年末は、掃除用品・掃除家電の出稿量が、18年末に比べてさらに減少した。今後、年末の掃除用品・掃除家電の出稿量減少のトレンドを塗り替えるような大ヒット商品が登場することがあるのか、注目したいところだ。


■正月食材はカニへ移行か

(続きは、「日本流通産業新聞」2月13日号で)

データ提供:(株)ハニーマスタード
 全国で放送されているインフォマーシャルについて、商品カテゴリー別、商品別、局別などに、放送回数、放送時間、価格などすべてをデータベース化し、プロモーションやマーケティングコンサルティングなどの事業を行う。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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