【コールセンター特集】富士通コミュニケーションサービス/乙黒淳 代表取締役社長/IT協会 カスタマー部門最優秀賞を受賞/EC系クライアントが増加

乙黒淳氏

 ICTに精通した人材が豊富な富士通コミュニケーションサービス(本社神奈川県、乙黒淳社長、(電)050―3163―8300)は近年、分析力や提案力でEC系クライアントとの契約件数を伸ばしている。推進するシェアードサービスは、公益社団法人企業情報化協会(IT協会、事務局東京都、宇治則孝会長)が行う顧客サポート表彰制度のカスタマーサポート部門で最優秀賞を受賞した。サービスの強みやAI活用などについて、乙黒社長に聞いた。

 ーーー近年、EC事業者のクライアント社数が増えている。

 EC市場の拡大に伴う形で、当社でも10年ほど前からEC企業のクライアントが増加している。前期(17年3月期)の売り上げ201億円のうち、約17%が通販・ECのサポート業務によるもの。毎年、平均10%増のペースで増加している。
 現在、クライアントは健康食品、食品、化粧品などを販売するEC企業を中心に約150社。大手から中小まで幅広いクライアントとお付き合いしているが、価格よりも品質を重視しているため、中堅規模以上のお客さまが多いのが特徴となっている。

 ーーーサービスが選ばれる理由は。

 当社の一番の強みは品質の高い人材にあると思っている。当社はIT系のサポート業務から事業をスタートしたこともあり、長く働きながら専門的なスキルを習得していくという人材育成スタイルを続けてきた。正社員比率も34%と比較的高く、一人一人がフルタイムで働くことがオペレーションスキルの向上に直結している。
 長期にわたって同じクライアントのサポート業務を担当することでお客さまをよりよく知ることができ、クライアントから「当社の社員よりも当社の理念を理解してくれている」と褒められることも少なくない。
 ウェブや人工知能(AI)など最新のインフラに対するスキルの高い人材が多く、受注傾向の分析や売り上げ増加に向けた提案に加え、VOC(ボイス・オブ・カスタマー)などをクライアントにフィードバックする能力も高いと自負している。

 ーーー今年9月、IT協会の顧客サポート表彰制度カスタマーサポート部門で最優秀賞を受賞した。

 96年からシェアードサービスを推進している。1人のオペレーターが複数のお客さまの業務をマルチに対応するのが特徴のサービスだが、まったく異なる業界の業務においても高水準の品質で対応できるようにトレーニングを積んでいる。通常のサポート業務と比べてコストも抑えられ、品質と価格を両立させている点が特に評価されたとみている。

 ーーーAI活用に向けた取り組みについて教えてほしい。

 まずはチャットボットベースのAIから活用しており、クライアントのセンターの一部分で試験的に導入している。消費者の問いに回答できるだけの十分なデータベースを整えるには想像以上に時間と労力がかかりそうだが、そこさえクリアできれば効果が見込めるとみている。
 ディープラーニングについては、富士通グループの研究所とも連携しており、将来的に導入していく考えだ。

 ーーーAIとヒトの住み分けについてどのように考えているか。

 これからAIが私たちのライバルになるわけではない。オペレーターには、AIを使いこなすとともに、AIにはまねできない「人間らしい」付加価値を磨いていってもらいたい。
 オペレーターの人数を保ち、AIを積極的に活用することでさらに売り上げを伸ばしていく考えだ。AIの活用法が問われてくる。

 ーーー人材確保の状況は。

 地域差はあるが、全体としてここ2年くらいで急激に採用が厳しくなったと実感している。「コールセンター業界は大変だ」というイメージが先行してしまっているのは残念だ。
 そのイメージを払拭したいという思いもあり、当社では褒める文化を重視して働きがいのある環境作りを進めている。高い成果を上げたプロジェクトを年に1度表彰しているほか、月に3~4回のペースで、成果を上げたオペレーターも表彰している。また、スタッフ間のコミュニケーションを活性化させるためのイベントも大事にしている。

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