【コールセンター】 〈インタビュー〉トランスコスモス 船津康次会長兼CEO/最新技術に引き続き注力

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 トランスコスモスは、人工知能(AI)技術を活用した取り組みを強めている。進化を続けるデジタル化の将来を見据え、企業や顧客の要望に的確なサービスを提供できるよう、最新技術を活用した先進的な取り組みを打ち出している。AIの活用や今後の展望について、船津会長兼CEOに聞いた。

■音声認識の活用
 ─幅広い事業を展開しているが、現在力を入れているのは何か。
 創業して今年で52年。創業当時から掲げている「People and Technology」をサービスの根幹としている。「People」の部分は大きく変わることはないが、「Technology」の領域は、すさまじい勢いで変化を続けている。そのギャップを埋めるために、いかに質の良い先端のコミュニケーションができるかを考えている。
 具体的な事業の取り組みとしては、お客さまとのフロントでのやり取りから、その後のデータ分析・活用までをワンストップで行うことができるよう、個々の業務の質を上げている。
 ─音声認識の分野についてはいかがか。
 AI・RPAの分野では、音声認識にも注力している。音声認識はコンタクトセンターではフロント部分にあたる。顧客とのやり取りをログとして残し、文字データに置き換えるなどしている。自動音声を使うことで、オペレーターのクオリティーコントロールにもつながる。
 自然言語認識に関しては、まだ実用化のレベルに至っていない。17年9月に設立したコミュニケーションサイエンスラボで、AIを使ったサービスを日々研究している。

■積極的な先行投資
 ─前期の売り上げ状況について聞きたい。
 社会全体のデジタル化が進んでおり、アウトソーサーとしての役割を任される機会が増えた。スマホ市場は年々拡大してきており、その中でのニーズが広がっている。銀行をはじめとする金融機関でもラインを利用した顧客対応が増えており、売上高に直結している。ECをはじめとした流通業の対応も増加傾向にあるが、幅広く全産業の支援を実施している。
 ─利益率が下がっている要因は。
 拠点進出に係る海外への投資、音声認識・AIの活用など、新しいテクノロジーへの投資などを積極的に行ったためだ。われわれが持っていない分野の知識を持つベンチャーにも出資している。ITの目まぐるしい変化についていくには必要なことで、チャレンジしていかなければならないと考えている。今後も引き続き積極的に先行投資を行っていく。

■データ分析と活用
 ─今後の展望についてうかがいたい。
 デジタルトランスフォーメーションということで、企業も顧客対応が重要なテーマになっている。求められたことに的確に応えることができるように、あらゆるチャネル・ボリュームに合わせて、きっちり対応できるコンタクトセンターを作っていきたい。グローバルな視座を持ち、全方位で対応ができるよう取り組んでいく。
 中国の独身の日(ダブルイレブン)も弊社がお手伝いしている部分がある。市場規模が2兆〜3兆円で、日本の何十倍にもなる。業務の自動化も盛んに進んでおり、そういった面でも対応を続けていきたい。
 ─今後注目する分野は。
 コンタクトセンターにおけるデータベースのマーケティングが大事になってくるのではないか。需要予測が可能となり、セールスの活動がこれまで以上に活発になると思う。データ分析と活用には今後引き続き注力していく。


〈プロフィール〉
 船津康次(ふなつ・こうじ)氏 81年、リクルート入社。98年にトランスコスモス入社後、常務取締役、代表取締役社長などを歴任。03年6月から現職。17年6月まで一般社団法人日本コールセンター協会の理事を務める。52年生まれ、兵庫県出身。趣味はバンド演奏で担当はドラム。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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