【ネットが拓く〈リテンションの時代〉】連載第16回 AIとビッグデータで迷走?

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■正しい情報と回答の提供を
 デジタルマーケティングの本や記事を読むと、AIとビッグデータが花盛りである。結論は明るい未来の話として語られ、ビジネスが格段に進展するかのように主張しているが、本当だろうか。
 わが国に限って言えば、AIもビッグデータも、ここ数年は期待ほど役に立たないし、誤った方向に企業や社会を誘導するのではと思っている。
 AIから話を始めてみよう。AIとは機械に人間の脳のように何層ものレイヤーを通して学習していく、ディープラーニングの仕組みである。
 情報を機械にインプットし、既存の解決策の中で最良の回答を選択し、アウトプットしてもうらことが基本的な流れである。
 ただ、情報と回答を機械に与えるのは人間である。正しい情報を見極め、正しい回答を提供する能力が人間になければ、AIは間違った判断や予測を行ってしまう。
 医学情報のように今まで研究され、論文として評価されている分野ではAIによって短時間にアウトプットできるが、情報と回答の少ない分野では、ここがボトルネックになると考えられる。
 情報の定義と運用ルールを設定し、正しい情報と回答を提供しなければならない。定義なしの情報やルール無視の回答を与えたら、AIはどうなるのか。
 正しく学習させてもらえなくて迷走するAIが日本中にあふれ、間違った予測で企業を間違った方向に誘導してしまう。

■収集データのミスリードも
 ビッグデータに話を移しても同じことが言える。ビッグデータ運用の根幹は、一人一人の行動の記録とお金の動きである。わが国では紙幣の安全性が担保されたため、現金信仰が強く残り、個人では現金決済をする層がまだ多く存在している。
 決済手段も現金・クレジットカード・デビットカード・交通系カード・QRコード決済が混在している。私個人の場合でも、金額の大きくなるような場合はクレジットカードを利用し、少額の支払いは交通系カードを利用している。

(続きは、「日本ネット経済新聞」10月11日号で) 

〈プロフィール〉
伊藤 博永(いとう・ひろなが)
 1993年3月、旭通信社(現ADK)入社。2001年4月、価値総研取締役、09年4月、ADKダイアログ代表取締役、12年1月、アディック取締役(現任)、15年9月、日本リテンション・マーケティング協会理事、18年4月、日本リテンション・マーケティング協会監事(現任)。
 筆者に関する問い合わせは、一般社団法人日本リテンション・マーケティング協会事務局((電)=03—6434—0703)まで。http://j−rma.jp/

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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