【ネットが拓く〈リテンションの時代〉】連載第15回 「見守り」ケアで継続消費

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■老親の健康確認
 お盆と帰省の季節が終わった。筆者も10年ほど前まで、お盆に帰省することが年中行事の一つであった。帰京する段になると、老親の健康や緊急の際の対応に心を配っていたことを思い出した。
 当時、遠隔地からの健康状態を確認する手段は、「魔法瓶を使う方法」とか「トイレの扉の開閉を使う方法」という、日々の行動確認があった。
 もっと流行するかと思っていたが、「魔法瓶」「トイレの開閉」による確認は、商品購入のイニシャルコストが必要だが、ランニングコストは通信料のみであったため、販売したメーカーに継続的な利益が確保できなかったようで、いつの間にか消えてしまった。
 老親が故郷に住んでいて、子どもたちは都会に住んでいる。皆と同様に、心配は老親の健康状態や危機管理である。今では警備会社が「見守り」に特化したサービスを提供していたり、「見守りサービス」を専門に扱うIT企業も出現したりし始めているが、最近新しい「見守り」ケアの話を聞いた。
 「見守り」ケアについて、あるコーヒー供給メーカーが長野県でテストを実施している。コンセプトは「離れて暮らす家族をそっとつなげ、さりげなく見守る」だそうだ。
 コーヒーを入れる機器とタブレットをリンクしたセットを老親のもとへ提供し、都会の子どもたちは自分のスマホで、タブレットからの情報を受け取る形を採用している。
 老親に金銭的負担をかけないように、支払いは老親か子どもたちかの選択もできる。老親がコーヒーや茶飲料を入れると、タブレットから都会在住の子どものスマホに、今日も入れているよとスタンプ表示される。
 子どもたちは老親が今日も元気だと確認でき、数日間スタンプが来ないなどの異変があれば、スマホからタブレットに問い合わせができる。


(続きは、「日本ネット経済新聞」09月13日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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