【ネットが拓く〈リテンションの時代〉】連載第32回 心理ロイヤルティーを探求

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■2つのロイヤル

 リテンションマーケティングを考え始めたきっかけを思い出している。
 5年くらい前のことだが、ある企業から成長するための原則を教えてほしいと依頼された。当時、日本の人口減少問題がマスコミをにぎわしていたことと、ネットECが驚異のスピードで進化していることとが頭の中で渦巻いていた。
 当たり前のことだが、人口が減れば新規購入者も減り、新規顧客獲得も困難になる。ネットECが普及すれば、EC参入の障壁が低くなり、新規参入企業が増加していくということは容易に察しがついた。
 人口減少と新規企業の参入増加という二つの要因が重なれば、顧客獲得が困難になることは自明の理である。新規顧客をあてにした成長は困難であると伝え、私自身もマス広告によるアクイジションマーケティングから、CRMを活用したリテンションマーケティングにかじを切った。
 では、リテンションマーケティングで何を獲得すれば、成功と言えるのか。既存顧客が離れていかないようにするために、CRMの質的・量的な向上が一つの答えである。
 CRMにより顧客との関係性を深め、顧客に好意を持ってもらうには、ロイヤルティー形成が重要である。しかし、ここでまた難題が潜んでいることにふと気づいてしまった。ロイヤルティーと言っても「見せかけの行動ロイヤルティー」と「本当の心理ロイヤルティー」があるのでは?と。


■自分でも不明

 私事であるが現役バリバリのころ、イタリアの高級紳士服ブランドを毎年購入し、10年近く同じブランドを着続けていた。理由は簡単で、ふとしたことからそのブランドの縁故セールに招待されたからである。

(続きは、「日本ネット経済新聞」2月20日号で)

〈プロフィール〉
伊藤 博永(いとう・ひろなが)
 1993年3月、旭通信社(現ADK)入社。2001年4月、価値総研取締役、09年4月、ADKダイアログ代表取締役、15年9月、日本リテンション・マーケティング協会理事、18年4月、日本リテンション・マーケティング協会監事(現任)。

 筆者に関する問い合わせは、一般社団法人日本リテンション・マーケティング協会事務局((電)=03―6910―4644)まで。http://j-rma.jp/

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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