2022年 有力EC事業者・有識者が市場を予測

　企業のＥＣ参入や事業全体のデジタルトランスフォーメーション（ＤＸ）の気運が高まっている。事業者においては、そのかじ取り役を担う人材の確保・育成が急務だ。メンバーズの社内カンパニーで、地方企業に向けＥＣ人材の提供を行うメンバーズルーツカンパニーの神尾武志社長は、ＤＸ加速とともにＥＣ人材の重要性が増していくと指摘する。

　２０２０年はあらゆる局面で企業のＤＸが加速した１年だった。コロナ禍の収束の見通しが立たない中、今年もその状況は続いていく。ＥＣ市場の活発化と競争激化、それに伴う人材不足は必至だ。
　市場の拡大やＤ２Ｃなどの新たな販売手法の確立により、物理的なハンディを抱える地方企業のＥＣ参入も進んでいる。その背景の一つには、「Ｓｈｏｐｉｆｙ（ショッピファイ）」や「ＢＡＳＥ（ベイス）」などの普及がある。
　こうしたプラットフォームの進化により、ＥＣ事業の開始自体は今後ますます容易になっていくだろう。「事業の民主化」とも言えるこうした動きをＤＸの定義の一つだと捉えている。
　企業にとっては、ＥＣ事業の運用や継続的な改善を行う人材の確保が急務だ。ＥＣ人材は売り手市場の傾向がより強まるだろう。
　テレワークの浸透により、さまざまな働き方が実現可能になった。リモート環境かつ時間単位でＥＣ人材を提供するという当社のサービスも、開始当初の予想を大きく上回る理解と関心をいただいている。
　消費者の意識という点では、環境保護など企業の社会貢献性に対する関心が高まってきている。価格や機能性だけでなく、ブランドや商品が持つ価値観が、購買を左右する要因として重要になっていく。
　こうした観点は商品自体のみならず包装や配送など、あらゆる面でＥＣとも密接な関係を持つ。ＤＸと表裏一体であり、企業がデジタル活用を推進していく上で同時に考えていくべきテーマだ。